JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[JJ] ポスター発表

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[O-06] [JJ] 日本のジオパーク-しくじりから見えてくるジオパークの理想像-

2017年5月20日(土) 10:45 〜 12:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:松原 典孝(兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)

[O06-P10] 地域住民を意識した佐渡ジオパークづくりを目指して

*市橋 弥生1貞包 健良1相田 満久1 (1.佐渡ジオパーク推進協議会)

キーワード:佐渡、ジオパーク、地域住民

ジオパークづくりにはその地域に住む住民の意見や想いを加え、推進協議会と住民が一丸となりともに作り上げていく必要がある。そのためには常に住民たちと事務局員や専門員との距離が近く、意見を吸い上げる環境と仕組みが必要である。住民とともに作り上げるジオパークには時間が必要であり、数年で結果が出るものではない。しかし、住民とともに作り上げていくことで、住民は実感と責任感を得られ、結果として持続的なジオパークづくりが可能となる。上記を念頭に置き、佐渡ジオパークで実施した集落説明会の効果と今後の予定について紹介する。
事務局員や専門員は地域に入り、住民への説明や現地見学の講師などを務めている。地域の魅力を住民とともに再発見し、大地と人の暮らしの関わりに焦点を当てたツアーなどの提案を行っている。専門的な事柄のみではなく、地域に点在する魅力を繋いでいくことが必要である。佐渡島内における住民のジオパーク認知度はまだ低い。そこで、推進協議会では平成27年度より地域住民を対象に説明会を実施している。集落の集まりに事務局員や専門員が出向き、ジオパークについて説明を行っている。まず「ジオパーク」という言葉に慣れてもらうことを目的としたが、意外にもいくつかの集落からは「見どころの草刈りをしよう」「海から見るジオツアーを集落で実施してみたい」など事務局の予想を超える声が挙がり、見どころまでの通路整備など、具体的な取り組みが開始された集落も存在する。住民たちがその地域の価値に気づき、行動し始めた証拠である。特に、小木半島にある沢崎集落では30年以上も放置され、草に覆われていた海岸へ降りるための階段整備を集落が主体となって実施した。その後、住民たちとともに海岸や集落内を散策し、地域の宝を再認識した。春には海岸で採れる岩のりを使ったツアーを集落主体で実施予定である。
ジオパークは観光などに活用できる取り組みである。しかし、ジオパークを使い何を目指すのかはそれぞれの集落によって異なる。事務局員や専門員は集落を巡り、他ジオパークの事例を紹介しながら佐渡におけるジオパークの使い方を説明している。住民から「観光に活かしてみたい」という要望があれば、その仕組みづくりの手助けを行うべきである。
今後も集落説明会を実施していく予定である。観光、教育、地域づくりなど様々なことにジオパークが利用されていくが、そこには地域住民の理解と協力、自主的な取り組みがかかせない。佐渡ジオパークづくりにおいて、どのような事業を展開していくにせよ、住民を意識して取り組んでいく必要がある。