JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT59] [JJ] 地震観測・処理システム

2017年5月21日(日) 10:45 〜 12:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:吉見 雅行(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)

[STT59-P02] 南海トラフ広域地震防災研究プロジェクトにおける地域防災活動に向けた リアルタイム地震関連情報表示システムの機能強化

★招待講演

*杉山 大祐1高江洲 盛史2堀川 博紀1末木 健太朗1水井 良暢3高橋 成実3園田 朗1坪井 誠司1 (1.海洋研究開発機構、2.日本海洋事業、3.防災科学技術研究所)

キーワード:リアルタイム地震波形表示、DONET、南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト、地域防災活動、Webアプリケーション

国立研究開発法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC) では、東南海地震の想定震源域である熊野灘周辺に、地震計・水圧計等を備えた大規模かつ稠密海底観測網を整備し、地震・地殻変動・津波といった物理的諸現象をリアルタイムで観測・監視するシステム(DONET)を防災科学技術研究所(NIED)から委託運用している。それらを用いた地震学的な成果としての研究情報と防災減災に寄与する情報を積極的に発信するため、防災担当者向けのコンテンツ提供サービスとして、DONETから送られてくる強震計・水圧計の波形データをリアルタイムにウェブブラウザ上で表示するウェブアプリケーションシステムを運用している。
甚大な被害をもたらした熊本地震、鳥取県中部地震の影響もあり、特に南海・東南海巨大地震発生帯に隣接する地方自治体は、国が示す広域的な防災対策を念頭に置きつつ、それぞれの地域に応じた独自の防災対策を早急に構築していくことが求められている。最新の研究で得られた成果や地震減災に関する情報についての地道な広報活動だけでなく、海溝型巨大地震発生帯の直上・直近において稠密展開した観測装置が検知した生の観測波形データをリアルタイムに防災担当者が確認できることで、より迅速な防災減災対応の判断に資することができる。
平成25年から文部科学省では「南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト」を実施し、南海トラフ地震の姿、防災対策のあり方についての研究を行う一方、東海地域研究会、関西地域研究会、四国地域研究会、九州地域研究会の4つの地域に分け、各地域に特化した防災・減災上の課題を議論するなど、各地域の防災対策レベルの向上に努めている。平成28年より、本システムもこの地域研究会参加者へ向けた「南海トラフ広域地震災害情報プラットフォーム」へ波形表示機能の提供を行い、より多くの防災担当者へ本システムを利用した地域防災対策を推進した。また、次年度にはこれまでの提供ユーザの範囲から、幅広い実担当者レベルへ提供ユーザの範囲を拡大したいというNIEDからの依頼により、それに耐えうる負荷対策・機能強化として、本システムの波形について画像キャッシュを描画生成する機能の追加、数週間程遡って過去の波形を保持し閲覧できる機能の追加を実施中である。これにより、利用ユーザの大幅な拡大が可能となり、また、常時本システムをモニタへ表示していなくても、大地震発生後にアクセスしての地震、津波の波形確認が可能となる。
本発表ではシステムの防災利用拡大による今後のシステム機能強化への議論を深めたい。