函館大会(第51回石油・石油化学討論会)

セッション情報

ポスター発表

[Poster] ポスター発表

プログラム番号の後に(オンライン発表)とあるポスター発表は,対面QAの時間帯もオンラインでQAを行います。

○髙岡 由貴1、阿部 一徳1 (1. 秋田大学 大学院国際資源学研究科)

低塩分濃度水攻法は、先行研究やフィールド試験などで増油効果が報告されている。対象油層の岩石、油、塩水の相互作用により、岩石表面が水濡れ性に移行することが示唆されているが、その一方で、特に炭酸塩岩における増油メカニズムは未解明な領域が多い。本研究では、塩水の性質に着目し、炭酸塩岩コアを用いた掃攻試験において、圧入水の濃度や組成、pHの変化が、増油効果及びコア内の圧力挙動に与える影響を評価した。

○猪俣 泰祐1、阿部 一徳1 (1. 秋田大学 大学院国際資源学研究科)

SiO2ナノ粒子を用いた石油増進回収法では、置換効率改善による油回収率の向上が報告されている。一方で、対象貯留層の含有鉱物とナノ粒子の相互作用は、ナノ粒子の岩石表面への吸着性や凝集性に影響を与えるが、岩石中のナノ粒子の透過性や油置換効率との相関に関しては不明瞭な点も多い。本研究では、掃攻試験や掃攻試験時の排出液中のSiO2ナノ粒子の濃度評価から、砂岩中の粘土鉱物が岩石中のSiO2ナノ粒子の透過性および油置換効率に与える影響を検討した。

○野上 健幸1、三浦 大樹1,2,3、宍戸 哲也1,2,3 (1. 東京都立大学、2. 東京都立大学 水素エネルギー社会構築推進研究センター、3. 京都大学ESICB)

SiO2/Al2O3比の異なる担持硫化タングステン触媒を調製し、クメンクラッキング反応を行った。XRD、 XPS、 Pyridine吸着IR、
NH3-TPDを行い、触媒の構造と酸特性の関係を調べた。SiO2-Al2O3担体と比較して、WO3/SiO2-Al2O3およびWS2/SiO2-Al2O3触媒は、担体中のSiO2/Al2O3比によらず高い活性を示した。これは、WO3およびWS2の担持により新たブレンステッドな酸点が発現したことを示唆している。

○張 天馳1、張 治宇1、神田 康晴1 (1. 室蘭工業大学大学院)

リン化物-硫化物複合触媒の前処理と水素化脱硫活性について検討した。還元処理したRh-P触媒をNiMo触媒と混合した際の昇温硫化プロファイルでは、Rh-P触媒の硫化はほとんど確認できず、NiMo触媒の硫化のみが確認できた。このリン化物-硫化物複合触媒は、Rh2Pに起因する高い水素化能とNiMoSに起因する高いC-S結合の切断能を有するため、高い水素化脱硫活性を示すことを明らかにした。

○長尾 優1、北野 理基1、武守 佑典1、近藤 友明1、Kelting Rebecca2、Giusti Pierre3、Piparo Marco3 (1. 株式会社島津製作所 分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター、2. Shimadzu Europa GmbH、3. Total Refining and Chemicals, Total Research & Technology Gonfreville, International Joint Laboratory - iC2MC: Complex Matrices Molecular Characterization)

石油化学製品において硫黄濃度の管理は重要であり、軽油やガソリン中の硫黄総量は10ppm以下の微小量で管理されています。有効な分析法として、GCによる化学発光硫黄検出器(SCD)を用いた手法が挙げられます。SCDは硫黄化合物に等モル感度特性を持ち、石油化学製品に含まれる微小かつ多種の硫黄化合物を定性せずとも定量可能です。本発表ではSCDの等モル感度特性に着目し、軽油中での応答を調べた結果を報告します。

○北野 理基1、長尾 優1、武守 佑典1、近藤 友明1、Piparo Marco2、Giusti Pierre2 (1. 株式会社島津製作所、2. Total Research & Technology Gonfreville)

硫黄化合物は微量でも有害性を持つため、石油化学製品においてこれらを確認することは非常に重要です。化学発光硫黄検出システムNexis SCD-2030は、硫黄原子の数に対して線形的に応答する優れた等モル感度特性を有します。更に、高マトリクスの干渉に対応できる装置であるため、クロマトグラムにて個々のピークの分離し、各々の定量を行うことなく、含有硫黄総量を簡便に定量することが可能です。本システムを用いた、軽油中の総硫黄量の分析結果・考察を示します。

○森田 剛1、森本 正人2、山本 秀樹3、田中 隆三4,5、鈴木 昭雄5 (1. 千葉大学、2. 産業技術総合研究所、3. 関西大学、4. 出光興産、5. 石油エネルギー技術センター)

アスファルテンとその構成分子を模したモデル分子の凝集緩和挙動に関する、ラマン散乱測定による検討について報告する。発表者らは、 近年、小角散乱法によりメゾスケールでの構造評価の立場から本凝集状態の検討を行ってきた。この中で改善点を見出しており、析出等への関連性が高いより大凝集の解析、および、分子間相互作用に対するより直接的な情報の取得であり、本発表は後者に関連した取り組みに関するものである。

○下澤 健一1 (1. ジョンソン・マッセイ・ジャパン合同会社 資源技術開発部門)

石油化学品製造におけるコストダウンを図る一つの手段として、安価な原料の使用がある。しかし、安価な原料には水銀を多く含むものがある。水銀は設備を腐食したり、後段の触媒反応を阻害したりするため、早い段階で除去が行なわれている。ジョンソン・マッセイでは、対象物の種類に合わせた水銀吸着剤を産業界に供給してきた。本稿では、実績を踏まえてそれらの特徴を紹介する。また、燃焼排ガスからの水銀除去技術についても紹介する。

○佐藤 宏基1、今野 大輝1 (1. 東邦大学)

本研究ではMILs結晶合成における原料の多様化と回収後のPETボトル利用法の新規提案を目指し、PETボトルを出発原料とするMIL-53(Al) 結晶の合成を試みた。その結果、合成条件が結晶性や結晶形態に及ぼす影響を明らかにし、試薬由来と同等の比表面積を有するPET由来のMIL-53(Al)を得ることに成功した。さらにこの結晶について、水中フェノールに対する吸着除去性能を検証し、水質浄化剤としての可能性を確認した。

○谷原 彩音1、菊地 絋平1、今野 大輝1 (1. 東邦大学)

本研究では、ZIF-8による休廃止鉱山由来汚染水の浄化に向けた基礎的検討を行った。従来の吸着剤と比較して、ZIF-8は高い鉛イオン除去性能を示した。そこでさらに浄化メカニズムを明らかにすべく、鉛イオンと銅イオンの浄化に対するメカニズム解明を図った。その結果、鉛イオンでは吸着現象、銅イオンではイオン交換現象の進行が示唆された。鉛イオンの吸着等温線はLangmuirモデルに適合したことから細孔内への吸着現象であると考えられる。

○小泉 大生1、今野 大輝1 (1. 東邦大学)

新たなガソリンベーパー吸着剤として、イミダゾレート骨格をもつMOFsの炭化水素吸着特性を確認した。例えばn-ヘキサンが吸着質の場合、SOD型のZIF-8 と RHO型のMAF-6 では両者の吸着量に大きな差は見られなかったが、一方でシクロヘキサンの場合には、細孔径の大きなMAF-6が高い吸着量を示す結果となった。さらに、脱着操作による繰り返し利用も可能であり吸着剤としての有用性が確認された。

○藤本 侑吾1、周 安博1、三宅 浩史1、内田 幸明1、西山 憲和1 (1. 大阪大学)

SAPO-34ゼオライトはmethanol-to-olefins(MTO)反応において高い低級オレフィン選択率を示すことから有望視されているが、コーキングにより触媒寿命が短いという問題がある。外表面への不活性物質の被覆は有効なアプローチの1つであるが、その修飾の難しさから報告は少ない。我々は金属有機構造体(MOF)を不活性物質の前駆体とした新たな被覆法を開発した。この被覆法を用いると、ゼオライトの構造や細孔を保つことができ、触媒寿命が大きく改善した。

○鷲見 知香1、三宅 浩史1、内田 幸明1、西山 憲和1 (1. 大阪大学)

近年、天然ガス由来の安価なエタンから付加価値の高い芳香族化合物を合成するプロセス(エタンの脱水素芳香族化)が注目されている。エタンの脱水素芳香族化に対して、Znイオン交換MFI型ゼオライトが高い芳香族収率を示すことが知られているが、触媒寿命が短いという問題がある。そこで、本研究では、MFI型ゼオライトのカウンターカチオン種、酸強度、外表面酸点などを精密に制御し、触媒寿命の向上を目指した。

○國領 伸哉1、三宅 浩史1、内田 幸明1、水沢 厚志2、久保 直嗣2、西山 憲和1 (1. 大阪大学、2. AC Biode(株))

排プラスチックの量は世界で年々増加しており、環境への負荷が大きくなっている。これを受けて、ケミカルリサイクルによるプラスチック資源循環プロセスの実現が望まれている。しかし、高温での分解には膨大なエネルギーを要するため、未だ社会にはほとんど実装されていない。本研究では、通常より構造欠陥を多く含んだゼオライト触媒を開発し、低密度ポリエチレンを低温で分解することに成功した。

○小林 歩夢1、三浦 潤1、神田 康晴1 (1. 室蘭工業大学)

Pt/Al2O3触媒のメチルシクロヘキサン(MCH)脱水素活性に与えるInの添加効果について検討した。Inの添加により、活性の安定性が向上し、生成物中のトルエンの選択率が向上した。また、1wt%のPtに対するIn添加量の最適値は、0.8wt%であることが分かった。キャラクタリゼーションの結果から、Inの添加によりPt粒子の凝集は確認されず、Ptは負に帯電することが明らかとなった。以上のことから、Inの添加により活性の安定性と生成物選択性を向上したのは、Ptが負に帯電していることが重要であると考えた。

○小笠原 気八1、宮崎 雅義1、北野 政明1、細野 秀雄1 (1. 東京工業大学)

炭素フリーなエネルギーキャリアであるアンモニアから、効率よく水素を製造するための安価で高性能な触媒が必要とされている。我々は、これまでに含窒素化合物(CaNHやCeN)にNiを担持することでアンモニア分解活性が著しく向上することを報告してきた。一方で、これらの化合物は大気不安定であるため本研究では大気中および水中で安定なBaTiO3-xNyにNiを担持しアンモニア分解反応に対する促進効果の検討を行った。

○周 安博1、三宅 浩史1、内田 幸明1、西山 憲和1 (1. 大阪大学)

ヘテロ原子と遷移金属を含有した炭素触媒は、優れた電極触媒として知られている。 特に、高分散したCoNx種を含んだ触媒は、燃料電池中の律速反応である酸素還元反応に対する活性が高いため、現行のPt触媒の代替触媒として注目を浴びている。 しかし、このような触媒を調製する際に必要な加熱処理によって、活性中心である金属同士の凝集が起きてしまう問題がある。ここでは、Co錯体を含んだイオン液体を用いた、高分散CoNxドープ多孔性炭素系触媒の新規合成法を報告する。また,得られた触媒は,アルカリ性溶液中で優れた酸素還元活性を示した。

○赤木 太政1、池永 直樹2 (1. 関西大学大学院、2. 関西大学)

現在、水素(H2)は天然ガスから製造されている。しかし、資源枯渇の観点から、バイオマス由来のメタノールから製造する水蒸気改質(MSR)が研究されている。本研究では、高いメタノール転化率およびH2収率が得られたNiCuAl-LDHにキレート剤によりCuを導入した触媒に関して、反応温度による影響および触媒安定性を調査した。その結果、280 oCでの反応ではメタノール転化率やCO2選択率は徐々に減少したが、10 h後でも23.9 %のH2収率が得られた。

○松本 美涼1、石丸 裕也1、吉川 琢也1、佐藤 太裕1、中坂 佑太1、井上 昭夫2、増田 隆夫1 (1. 北海道大学、2. 近畿大学)

竹は鋼鉄と同程度の剛性を示すセルロース繊維が構造力学的に最適化された配列を持つため、他の草本類と比べ高強度な天然材料であり、構造材として利用できる可能性がある。本研究では水/1-ブタノール溶媒を用い、竹からのリグニン・ヘミセルロースの分離法を確立すると共に、リグニンとヘミセルロースを取り除いた後の竹由来セルロースへ樹脂含浸をすることで、樹脂充填率の高いセルロースコンポジットの創製を検討した。

○Cui Yu1、Guo Lisheng1、Yang Guohui1、椿 範立1 (1. 富山大学)

CO2の持続可能な変換と利用は、今日の社会·で注目されている技術の1つです。しかし、CO2分子の不活性と弱い連鎖成長能力は、CO2の効率的な利用を制限します。本研究では、従来のFeベースの触媒とは異なり、一連のバイメタル触媒(FeCo)を調製して、CO水素化のより高い炭化水素収率に対するコバルト種の存在の影響を調査した。バイメタル粒子にコバルトが存在すると、小型の炭化鉄の形成が促進されます。一方、Co/Fe@C-8触媒のCo(2.4 at. %)およびFe(7.4 at. %)元素の適切な表面組成は、C2+生成物の選択的生成を促進するのに役立ち、高収率を示します。この研究は、CO2水素化から高収率でより長い炭化水素の形成ための高効率バイメタル触媒の利用への体系的なガイダンスを提供することができます。

○天本 和志1、吉川 聡一1,2,3、藤木 裕宇1、平山 純1,2、加藤 玄4、三浦 大樹2,3,4、宍戸 哲也2,3,4、山添 誠司1,2,3,5 (1. 東京都立大学大学院 理学研究科 化学専攻、2. 京都大学 触媒・電池の元素戦略研究拠点、3. 東京都立大学大 水素エネルギー社会構築推進研究センター、4. 東京都立大学大学院 都市環境科学研究科 環境応用化学域、5. 国立研究開発法人科学技術振興機構 さきがけ)

アミン溶液の固液相変化を利用して、高効率で低濃度CO2を吸収・放出するシステムを構築した。アミン溶液に400ppmのCO2を流し、下流の赤外分光光度計によりCO2除去効率を評価した。その結果、従来型のモノエタノールアミン溶液を大幅に上回って90%以上のCO2除去率を維持した。また、本アミン溶液はCO2の吸収に伴い白色のカルバミン酸固体を生成した。CO2の放出については、60℃において吸収したCO2とほぼ等量のCO2を放出し、最大で2%の濃縮CO2が得られた。

○郭 麗娟1、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

フェノキシ配位ハーフチタノセン触媒を用いると、エチレンとアリルベンゼンとの共重合が効率よく進行し、さらに2-ヒドロキシアリルベンゼンとの3元共重合により、共重合体中に水酸基の導入も可能になった。発表では、この共重合における触媒活性や共重合性能への触媒の効果をまとめた結果を紹介する。

○GO Lance O’Hari P.1、Abdellatif Mohamed Mehawed1、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

植物油(長鎖脂肪酸エステル)と糖化合物から誘導される対称型の1,ω-非共役ジエンの架橋剤存在下での非環式ジエンメタセシス重合により、溶媒可溶なネットワーク(架橋)ポリマーの合成を検討した。末端にオレフィン二重結合を有する長鎖脂肪酸エステルとグリセロールで合成した(Tri-arm型の)架橋剤との重合とつづくタンデム水素化で得られるポリマーは単峰性の分子量分布を有する高分子量ポリマーで、ポスター発表ではその熱物性や機械的性質も含めて紹介する予定である。

○岩瀬 龍祐1、伊澤 樹、中谷 直輝1、山添 誠司1、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

最近当研究室では、溶液XAFS測定手法を用い、フェノキシ配位子を有する非架橋型のハーフチタノセン錯体触媒によるスチレン重合では中性の3価錯体が活性種として作用することを報告した。本発表では、関連のチタノセン触媒によるスチレン重合の機構解析に取り組んだ。特にXANESスペクトルでスチレン添加後に3価種の生成が見られた錯体触媒が、スチレン重合に高活性を示し、この種の触媒では3価の活性種が生成、触媒反応に関与することが示唆された。ポスターでは詳細を報告する。

○小嶋 美華1、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

天然に豊富に存在する非可食植物資源を原料とした機能性ポリマーの開発は重要な課題として認識されている。本研究では、Ru触媒(HG2)を用い、植物油と糖化合物から誘導される対称型モノマーと各種非共役1,ω-ジエンとのADMET共重合をおこない、続くone-pot(tandem)水素化により高融点ポリマーを合成した。

○岡部 正暉1、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

環状オレフィン系共重合体は、高透明性や耐熱性、低吸湿性などに優れる非晶性の高分子機能材料として注目を集めているが、使用できるモノマーが高歪みのノルボルネンに限定された。発表者は前回の熊本大会で、非架橋型のハーフチタノセン触媒によるエチレンと低歪みのシクロオクテンなどとの共重合を報告している。本発表ではプロピレンとシクロオクテンなどとの共重合を検討し、得られるポリマーの熱物性やミクロ構造解析を行った。その結果、得られたポリマーの環状オレフィン含量と熱物性の関係が、エチレン系共重合体とは顕著に異なる傾向がみられた。学会では結果の詳細を報告する。

○中島 野乃香1、小出 晃士、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

芳香族イミド及びアニオン性支持配位子(フェノキシやアニリドピリジン配位子)を有する配位不飽和の4配位ニオブ錯体の合成・同定に取り組んだ。特に合成容易な溶媒配位のイミド配位トリクロリド錯体、Nb(NAr)Cl3(dme)、からイミド配位トリスアミド錯体の合成、さらにフェノール等との反応により目的錯体を得る合成法の確立に取り組んだ。ポスター発表では、さらに合成した錯体を用いたエチレンとの触媒反応の結果も併せて紹介する。

○渡部 楓音1、小出 晃士1、野村 琴広1 (1. 東京都立大学)

高酸化状態の前周期遷移金属アルキリデン錯体はオレフィンメタセシス反応に有用な触媒である。本発表では、imidazolin-2-iminato、imidazolidin-2-iminato配位子を有する新規イミド配位有機ニオブ錯体の合成について紹介する。この種のジアルキル錯体は対応するイミド配位トリアルキル錯体と配位子との反応により得られる。さらに、新規dialkyl錯体はXeランプを用いた光照射によりalkylidene錯体へ変換できることが示唆された。ポスターではその詳細を報告する。

○木村 なな子1、竹内 大介1、小倉 沙代子2、高澤 彩香2、撹上 将規2、山延 健2、上原 宏樹2 (1. 弘前大学大学院理工学研究科、2. 群馬大学大学院理工学府)

NHC銀錯体と有機アルミニウムを組み合わせると、エチレン重合が進行することが知られている。我々は、この重合系中における活性種は、銀錯体上のNHC配位子が有機アルミニウムに移動した、NHC有機アルミニウム錯体であることを見出した。有機アルミニウムのうち、MMAO・MAOとの組み合わせは、140℃前後の融点、cob-webのモルフォロジーを持つポリエチレンを得た。NHC銀二核錯体はMAOの組み合わせのみに重合に活性を示し、140℃付近の融点を持つが、他の重合系とは異なるモルフォロジーを示すことが今回の研究で明らかになった。

○和田 透1,2、ピオヴァノ アレッサンドロ2,3、高棹 玄徳1、チャミンクワン パッチャニー1,2、グロッポ エレナ2,3、寺野 稔1,2、谷池 俊明1,2 (1. 北陸先端科学技術大学院大学、2. DPI、3. トリノ大学)

化学的活性化によって得られるZiegler-Natta触媒はオレフィンの重合反応において高い活性を示すことが知られている。本研究では、触媒調製中に触媒粒子がどのように形成されているのかを種々の分析法によって追跡し、活性ナノ構造の起源について調査した。

○西川 諒1,2、鮫島 皓1,2、松本 崇弘1,2,3,4、小江 誠司1,3,4 (1. 九州大学大学院工学研究院応用化学部門、2. 国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけ、3. 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、4. 九州大学小分子エネルギーセンター)

フェノールは、我々の生活には必要不可欠な多くの化学物質の基盤とな
る化合物である。現在、フェノールはクメン法によって工業的に製造されてい
るが、副生生物として化学量論量のアセトンが生成することや反応効率の低さ
が課題である。本研究では、有機ジルコニウム錯体を用いた光誘起プロトン共
役電子移動によるベンゼンの酸素酸化によるフェノール合成を報告する。

○木村 健人1,2、松本 崇弘1,2,3,4、小江 誠司1,3,4 (1. 九州大学大学院工学研究院応用化学部門、2. 国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけ、3. 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、4. 九州大学小分子エネルギーセンター)

メタンは、バイオマスから製造可能であることから、再生可能エネルギーと親和性の高いリソースとして知られており、ナフサに替わる化学原料としての役割が期待されている。しかし、メタンはその不活性さ故に、利用範囲は今もなお限定的であり、化学原料として広範囲に汎用的に利用するためには新しい変換方法の開発が必要である。本研究では、光応答性有機鉄錯体を用いることでメタンの酸化を達成した。

○中村 玄太1,2、松本 崇弘1,2,3,4、木村 健人1,2、中野 龍也1,2、阿部 司5,6、塩田 淑仁5,6、吉澤 一成5,6、小江 誠司1,3,4 (1. 九州大学大学院工学研究院応用化学部門、2. 国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけ、3. 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、4. 九州大学小分子エネルギーセンター、5. 九州大学先導物質化学研究所、6. 国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業CREST)

レガシー資源からの脱却による脱炭素社会の実現に向けたグリーン成長戦略が加速している昨今、シェールガス革命を契機に、メタンはブリッジ・エネルギーとしての役割が期待されている。しかし、メタンは自身が有する物理化学的性質により、変換反応が最も難しい飽和炭化水素の1つに位置づけられている。本研究では、光エネルギーをインプットすることで均一系ルテニウム錯体を触媒とするメタンの変換反応に成功した。

○三瀬 周平1,2、村上 雅人1,2、木村 健人1,2、西川 諒1,2、松本 崇弘1,2,3,4、小江 誠司1,3,4 (1. 九州大学大学院工学研究院応用化学部門、2. 国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけ、3. 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所、4. 九州大学小分子エネルギーセンター)

メタンは、最も高い炭素-水素結合解離エネルギー(105 kcal/mol)を持つ飽和炭化水素であるため、その炭素-水素結合の官能基化は高難度反応として知られており、触媒化学分野では酸素を用いるメタンの水酸化は夢の反応と呼ばれている。本研究では、光エネルギーを駆動力とすることで、均一系イリジウム錯体による酸素を用いたメタンの酸化について報告する。

○篠原 慧也1、西田 吉秀1、羽田 政明1 (1. 名古屋工業大学)

セリア-ジルコニア複合酸化物に担持した銅触媒(Cu/CZ)の非貴金属系三元触媒として効果を検証した。水熱法、共沈法、含浸法により調製したところ、共沈法により調製した触媒が最も高いNO還元活性を示した。最適な銅担持量は5wt%であり、Ce/Zr比は1/1であった。IRにより測定した吸着CO種のピーク面積をベースに算出したTOFとH2-TPRの結果より、Cu-CZ界面が三元触媒反応に関与すると推察した。Cu/CZは比較的高いNO還元活性を示したが、更なる活性向上が必要である。
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