第18回日本感性工学会春季大会・ISASE2023

セッション情報

オーナーズセッション

オーナーズセッション

[1E03] オーナーズ 予測と感性

2023年3月6日(月) 15:00 〜 18:00 E会場 (Zoom Metting)

座長:布川 博士(岩手県立大学)

予測と感性
ルイヴィトンという会社の総資産はなんと1,364億€(ユーロ)。145円で換算すると19.6兆円になります。うち負債が566億€ですから、自前の資産は798億€、59%です。たしかにその商品は堅牢で好評ではありましたが、たかだか、かばん屋です。そのかばん屋が、総資産23.4兆円のNTTには負けるというものの、なぜこんな姿に出世したのでしょうか。100万円の価値しかないものを162万円では高いから158万円なら買うというのです。ベルナール・アルノーという人物です。かれはピアノが上手ですが、お洋服など造ったことはないのです。どういう感性でしょうか。筆者とほぼ同い歳です。
じつは、2020年10月、162億ドル(1.7兆円)が高いといって158億ドルに負けさせてティファニーという宝石屋を買ったのです。ご存じの方も多いでしょう。売る方は高く売ろうとします。ティファニーの自前の資産は1兆円しかないかもしれません(想像です)。0.7兆円捨てたも同然ですから損失と描くべきですが、それだと格好が悪いので、「のれん」とか「ブランド」という立派な無形資産だと言い張るのです。
アルノーは6割以上の議決権をもっています。仏国を代表する上場会社ですから、立派な役員会があるはずです。ただ、その構成員は誰も反対しないでしょう。0.7兆円は捨てたのではない、これから何十年も立派に稼ぐのだから立派な資産なのだと。これを裏付けるエビテンスはありません。確率を振り回せばロジックはできますが、怪しいものです。職業会計人はまともなロジックと言い張るでしょうが、結局、4割の株主も566億€の貸主(銀行とか債券お持ち主など)も、彼の感性による予測を信じて疑わないのです。その証拠にいまのところ株価は右上がりです。
経営者はいつもこうありたいものですが、ある時期の東芝の誰かさんのように、ときとして逆回転します。ウエスチングハウスがらみの0.7兆円くらいの無形資産はいんちきだったのです。彼の予測と感性はどうだったのでしょうか。役員会で反対する構成員もいなかったことになりますが、彼らの予測と感性も気になります。
ここから、まさしく感性マネジメントがはじまります。あるいみ、Fashion and Kansei Tech。珍しい感性工学が生まれるかもしれません。(大谷毅)

(1)全体像の説明 布川博士(感性事業部会長)
(2)水害リスク情報による心理的反応と行動意図への影響 秋葉奨大(中央大学大学院)
(3)AI導入の壁を乗り越えるためには 滝沢理(DataRobot Japan株式会社)
(4)事例分析に基づく開催報告作成支援システムの検討-AIは大会開催報告を書けるか?- 槫松理樹(岩手県立大学)
(5)事業のイケイケ感性としくじり企業の谷間 大谷毅(信州大学名誉教授)
(6)感性マネジメントに基づいた企業性格分析について 柏崎尚也(東京電機大学)
(7)大会開催時のデジタルデータによる感性と予測への期待-大会アンケートからの学会予測は可能か?- 布川博士(感性事業部会長)
(8)全体討論


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個別討論・交流・質疑応答 (15:00 〜 16:30)

個別討論・交流・質疑応答 (16:30 〜 18:00)

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