第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

医療安全

医療安全

座長:内田 荘平(福岡看護大学)

[23] 歯科医院のリスクマネジメント

清水 正路 (公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会)

【はじめに】
歯科医療は学問の体系が異なり独自の進化を遂げてきたが,高齢化に伴い全身疾患との強いかかわりが認識されてきている.しかしその連携は進んでおらず改革が必要である.
【感染リスク】
米「Visual Capitalist」が「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患するリスクが高い職業」として歯科医療従事者をトップにあげている.海外報道とはいえ日本にも大きな影響を与えている.
【診療,診断リスク】
・部位に関する(口腔)すべてをカバーするため粘膜疾患など検査が必要な疾患のリスクを見逃すことがあるため,各医療機関との連携は必須である.
・口腔内に使用する器具は鋭利で細かなものが多いので誤飲の危険性がある.
【医療機器の誘導退席について】
歯科用チェアは重量物であり患者の乗り降りの際には細心の注意が必要である.患者を寝かせた治療も多く起き上がるときに起立性低血圧を起こす危険性がある.
【放射線について】
放射線に対する危機意識と知識が不足している.歯科医院のX線導入率は100%であるにもかかわらず,従業員の知識レベルが不均等であるため不信感が出る場合がある.
【滅菌,衛生】
・滅菌は危ない作業でありその認識がない,滅菌のスタンダードを従業員が理解しておらず,詰め込みすぎで滅菌できていない実態がある.また高圧蒸気滅菌器に対する安全管理と意識がないため火災や事故などの原因にもなっており,第三者の評価がない.
・機械室からの配管や直結した水道水などの衛生管理の基準も現在はない.
【診療に関する危機意識】
・治療を医療機器に依存する比率が高いが機器のバックアップに対する考え方が薄い.そのため医療機器の際の不具合は致命的であり,予定された診療ができないことも多い
・心臓部である機械室の重要性を認識し非常用などの機器体制を整えるべきである.