第96回日本医療機器学会大会

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Educational Lecture

教育講演1 滅菌供給部門でおこなう,まっさらでおもろい研究のすすめ

座長:河野 太郎(宮崎大学)

[教育講演1] 滅菌供給部門でおこなう,まっさらでおもろい研究のすすめ

谷野 雅昭 (川崎医科大学 麻酔・集中治療医学)

滅菌供給部門,いわゆる中材で働いている人にとって「研究」は敷居が高く,難しいと感じて,どこか他人事のようになってしまっていることが多いのではないかと思います.滅菌供給部門で研究をしていくにはどのようにすればいいのでしょうか.
Wikipediaには,「研究とは,ある特定の物事について,人間の知識を集めて考察し,実験,観察,調査などを通して調べて,その物事についての事実を深く追求する一連の過程のことである.」と書かれていて,さらに,「学術的な研究の目的は,突き詰めれば新しい事実や解釈の発見である.」とも記されています.つまり「まっさら」なことを探し求めていくことと言い換えることができます.
研究対象となる「まっさら」なことはどうやって見つけたら良いのでしょうか.知られていないことを探すのは難しそうに思われるかもしれませんが,2つのことに着眼すればよいと思っています.ひとつは困っていることに目を向けることです.不便なことの解決方法は,まだ,誰もが知らない「まっさら」なことかもしれません.もうひとつは,さまざまなことに疑いの目を向けることです.教科書などに書かれていことも含めて,すべてをその対象にして構いません.「それって,どうなん?」「それ,ほんま?」という感覚を大切にしていけば,通説をくつがえすことになる「まっさら」なことを示すことつながっていく可能性があります.このようにして見つけた対象を筋道立てて証明していくことが,まさに研究となっていきます.しかしながら,筋道をきちんと立てることをしなければ,言いたいことが言えなくなって,不発に終わってしまう恐れもあります.したがって,研究のデザインには注意を払わなくてはなりません.
滅菌供給部門は滅菌だけでなく,洗浄,消毒,供給など様々な教務があり,わからないこと,改善したいことがたくさんありそうに感じています.私が取り組んできたことを具体例として示しながら,研究がおもろいと思えるようになってもらい,まっさらな研究にひとりでも多く取り組んでもらえるようになればと思っています.