第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション01(I-PD01)
臨床につながる胎児心機能・胎児循環不全評価方法

2021年7月9日(金) 10:40 〜 12:10 Track2 (Web開催会場)

座長:石井 徹子(千葉県こども病院 循環器内科)
座長:金 基成(神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

[I-PD01-3] Tissue Doppler法における胎児Myocardial Performance Indexの新たな測定

寺町 陽三1, 前野 泰樹1,2, 廣瀬 彰子1, 須田 憲治1 (1.久留米大学 医学部 小児科, 2.聖マリア病院 新生児科)

キーワード:胎児心機能, Myocardial Performance Index, Tissue Doppler法

【背景】胎児の心機能評価において、Tissue Doppler(TD)法は臨床的に広く使用されている. しかし、TD法で測定基準となっている時相は従来のPulse Doppler(PD)法と一致せず、基準値も異なっている。【目的】Dual Gate Doppler(DD)法により、TD波形の正確な測定基準時相を設定し、Myocardial Performance Index(MPI)、 Isovolumic contraction time (ICT)、Isovolumic relaxation time (IRT)、 Ejection time(ET)を測定してPD法とDD法で比較する。【方法】2019年から2年間に当院を受診した心内構造異常のない95症例を対象とした。 在胎週数は27.9±5.0週, 脈拍数は145±7.7。DD法によるTDとPDの同時波形を使用して、従来のPD法によるMPI計測基準に一致するTD波形の測定基準点を設定して左心室(LV), 右心室(RV)をTD法にてICT, IRT, MPIを計測しDD法による測定値と比較した。【結果】DD法によるTDとPDの同時波形から、ICT開始点はTD波形では前収縮期波の頂点、ETの開始はTD波形の収縮波の開始、IRTの開始はTD波形の収縮波直後の逆流波の頂点、IRTの終点はe’波の開始点と一致した。この基準でLV MPIはTD vs. DDで相関あり(r=0.30, p=0.003)、TD vs. PDは相関なし。RV MPIはTD vs. DDでは相関あり(r=0.23, p=0.02)、TD vs. PDは相関なし。LV ICTはTD vs. DDで相関あり(r=0.29, p=0.004)、RV ICTはTD vs. DDで相関なし。LV IRTはTD vs. DDで相関あり(r=0.31, p=0.002)、RV IRTはTD vs. DDで相関あり(r=0.42, p<0.0001)。【結語】新たな基準で測定したTD法によるMPIおよびICT, IRTの測定は、DD法で測定された値とほぼ一致しており, より正確な心機能評価が可能と考えられた。一方、RVのICT計測には差が見られ、さらなる検討が必要と考えられた。