The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Symposium

シンポジウム01(I-SY01)
患者と医師の安全、医療の継続性を実現するための制度設計

Fri. Jul 9, 2021 4:20 PM - 6:20 PM Track1 (現地会場)

座長:坂本 喜三郎(静岡県立こども病院院長・心臓血管外科)
座長:芳村 直樹(富山大学医学部第一外科)

[I-SY01-4] Regional problems for integration of the congenital heart surgery

白石 修一 (新潟大学医歯学総合病院 心臓血管外科)

Keywords:施設集約化, 小児心臓手術, 地方医療

小児心臓手術施設の集約化は都市部・地方を問わず必要であると多くの人が考えるが、集約化の意味するところは都市部と地方で異なる部分が多い。都市部であれば同一医療圏内に複数存在する実施施設を患者とマンパワーを同時に集約化することとなるが、地方においては複数の医療圏にまたがる集約化が必要である地域も多い。このため医療の質を維持し患者・家族が不利益を被ることなく集約化を行うには、交通網・搬送方法、緊急時対応、出生前診断率の向上、施設間連携の強化、遠隔診断、医師配備数の再検討など十分に整備が必要な地方特有の問題が数多く存在する。 さらに集約化された施設へ診療負担が集中することは当然であるが、もともとキャパシティーの少ない施設・医療資源への負担増は都市部に比べても相対的に大きい。医師の働き方改革に準拠出来るための特に術後管理を含めたシステム作り、医師だけでなくICUスタッフなどの継続的な人員確保と教育も必要である。また、ICU,NICUのベッド数のみならず手術枠数の確保も必要となるが、これは麻酔科医のマンパワーに大きく依存するところもあり、特に地方での早急な対応には限界があるのが現実である。さらに継続的な小児循環器医療を行うためには、移行期医療も含めた成人循環器内科などとの連携が必要であるが、広大な医療圏を担う集約化施設はこれに対しても計画的な外来配置・遠隔診療などのシステム作成が必須となる。 一口に地方と言っても、これらの問題点は各地方で全くと言っていいほど状況が異なることが予想され、それぞれの地域ごとの問題点の抽出と解決策を議論することが必要である。地方の集約化の問題点を一般化することは不可能であるが、地域の集約化の一例としてこれまでの新潟県内で試行錯誤されてきた集約化の現状と、それに伴って生じている解決すべき様々な問題点についても提示する。