The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Symposium

シンポジウム01(I-SY01)
患者と医師の安全、医療の継続性を実現するための制度設計

Fri. Jul 9, 2021 4:20 PM - 6:20 PM Track1 (現地会場)

座長:坂本 喜三郎(静岡県立こども病院院長・心臓血管外科)
座長:芳村 直樹(富山大学医学部第一外科)

[I-SY01-5] centralization, work shift, training -from pediatric intensivists' perspective-

大崎 真樹 (東京都立小児総合医療センター 集中治療科)

Keywords:集約化, 小児集中治療, 進展

「1)Resourceの集約化:人材・物資を一ヶ所に重点的に集めることによる効率化・安全化を。地域の医療機関同士でも集約化が必要。2)疲弊しない勤務体制:交代制の導入。長時間労働を禁止し患者の安全確保を。制度としての確実な休日・休暇の確保。3)教育指導システム:系統だった教育を受けられるシステムの確立を。医局や学閥にとらわれない流動的な人材の交流が必要。」
上記は今から約15年前の第34回日本集中治療学会および公開シンポジウム「小児集中治療 我が国のこれから」での結語スライドである。この公開シンポジウムでは私を含めて海外で臨床研修を行った3名が講演したが、異口同音に「集約化」「労働条件改善」「教育システム」の重要性を挙げていた。現在、本学会で議論となっている、集約化(≒治療の質の担保)、労働条件改善、心臓外科医の育成、と問題意識は全く同じである。あれから15年、確かにPICUと称する箱は増えてきた。だが集中治療学会として当初目指していた「人的資源が集約化されたトレーニングを行える施設」がいくつあるだろうか?、残念ながら、現状は小規模施設が乱立しており、本当の意味での集約化されたPICUは数えるほどである。
何が問題だったのだろうか?データとして示したり論文化できるものではないため私見になるが、学会のリーダーシップの弱さ、インセンティブの欠如、大学の壁、最も大きいのは総論賛成、各論反対となる当事者意識の欠如であろう。
ではどうしたら良いのだろうか?総論として立派な基準を作ることも大切だが、最後には個々の医師の考え方によるところが大きい。各医師、各施設の意識を今回のようなシンポジウムなどを通してゆっくりと変えていくのが結局は近道になるのではないか。絶対的な処方箋は存在しないことを認識した上で、気長に少しずつでも進めていくことが必要と考える。