The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Presidential Session

会長要望セッション02 パネルディスカッション(I-YB02)
先天性心疾患外科手術支援のための最新のコンピューター技術を用いた教育・診断・治療

Fri. Jul 9, 2021 3:10 PM - 4:40 PM Track2 (Web開催会場)

座長:市川 肇(国立循環器病研究センター 心臓血管外科)
座長:鈴木 孝明(埼玉医大国際医療センター 心臓血管外科)

[I-YB02-4] Practical use of 3D printed hollowed heart model

河野 洋介1, 吉沢 雅史1, 須長 祐人1, 長谷部 洋平1, 本田 義博2, 村田 眞哉2, 加賀 重亜喜2, 犬飼 岳史1, 戸田 孝子1 (1.山梨大学 医学部 小児科, 2.山梨大学 医学部 第二外科)

Keywords:3Dプリント, 心臓模型, テーラーメイド医療

【背景】先天性心疾患の立体構造は複雑であり、体格・心血管形態・血行動態によって実際の心血管構造は個々に異なる。当院ではテーラーメイド医療の実践を目指し、術前に得られた造影CT画像から中空型心臓模型を作成し、治療前における三次元構造の把握および治療シミュレーションを行ってきた。【模型作成方法】造影CTによって得られたDICOMデータ(スライス幅0.5 mm)から、精密3Dプリンターを用いて、仮想血管厚・仮想心内膜厚1mmの中空型心臓模型を光造形法で作成。プリント積層は0.05~0.1mm、レジン素材を用いた。【結果】2019年12月~2020年2月までに13例(外科手術前9例、カテーテル治療前4例)の中空型心臓模型を作成。CT撮影時の年齢および体重、模型1個当たりのレジン費用はそれぞれ日齢3~79歳・2.5~63.8kg・236~6,012円(中央値:1歳5か月・7.4kg・1,126円)であった。体格の小さい児では弁や心房中隔壁の模型化は困難であったが、心室中隔壁および大血管はCT値の調整を行うことによりモデル化し得た。以下具体例を示す。日齢20・TA2c・Bil PA band術後、PA band部に対するPTAを企図した症例では、PDDT経由での左右PAへのアプローチを大動脈肺動脈模型を用いてシミュレーションした。経路に合わせてカテーテルを成形することにより、標的部位へ容易に到達し得た。生後6か月・DORV・AVSDの症例では、欠損孔および大血管の三次元的構造を模型化。パッチサイズを術前に検討することが可能であった。11歳・Shone症候群に伴うMSの症例では、左房左室模型を作成。Supra-valvular mitral ringを含めた僧帽弁周囲の形態を模型化し得、手術方針の決定に有用であった。【まとめ】模型作成時には他の画像検査結果と十分に照合し、部位ごとにCT値を調整する等、工夫を行うことでモデル化が可能であった。精密3Dプリンターで作成した中空型心臓模型は、外科治療やカテーテル治療前の形態把握や治療計画に有用であった。