The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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標本展示講演

標本展示講演(II-TISL)

Sat. Jul 10, 2021 5:30 PM - 6:30 PM Track4 (Web開催会場)

座長:野村 耕司(埼玉県立小児医療センター 心臓血管外科)

[II-TISL] Truncus Arteriosus, Pulmonary Atresia and Ventricular Septal defect with Major Aortopulmonary Collateral Arteries

猪飼 秋夫 (静岡県立こども病院)

Keywords:総動脈幹遺残, 肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損, 主要体肺動脈側副血行路

総動脈幹遺残と肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損(PAVSD)の形態上の特徴は、単一の大血管が起始している点である。その大血管に関しては、総動脈幹遺残では、円錐動脈幹が分割しない総動脈幹であるのに対し、PAVSDでは、円錐動脈幹が分割しつつ右室流出路が消退した結果の大動脈である点が異なる。PAVSDでは、大動脈弁は冠動脈の起始を含め正常であるが、総動脈幹遺残では、総動脈幹弁の弁尖の数は、2つから6つまでの可能性があり、その弁尖も未熟でmyxomatous状の変性があり、冠動脈の起始も必ずしも正常ではない。 心室中隔欠損は、いずれも流出路に位置し、その後下縁に関しては中隔縁柱の後脚の伸展具合により構成成分が決定される。ただし刺激伝導系への影響はない。 肺動脈の分岐に関して、総動脈幹遺残においては、Van PraaghないしはCollett Edwards分類がある。Van Praagh分類A1はCollett Edwards分類Iに、A2はIIとIIIに相当する。Collett Edward分類VIはPAVSDである。Van Praagh分類A3は片方の肺動脈が総動脈幹より起始し、他は動脈管ないしは側副血行路より起始する。A4は大動脈縮窄ないしは離断を合併している。ただしいずれの場合も第VI弓で形成される中心肺動脈が肺内肺動脈と接合している。一方PAVSDでは、第VI弓で形成される中心肺動脈は十分な順行血流を伴って肺内肺動脈に接合せず、場合によっては存在しない場合もある。このような場合、胎生期の主に背側大動脈から起始した肺原基への栄養血管が、出生後主要体肺側副血行路(MAPCA)となる。このためMAPCAは、下行大動脈から肺内肺動脈に接合するまでの走行に規則性がなく、その血管径、性状そして抵抗等は周囲組織や出生後の血流動態の影響を受ける。今回の教育講演では、特に規則性のないPAVSD MAPCAの治療の一助となるような情報提供をさせていただく予定である。