第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

JSPCCS-JCC Joint Session

JSPCCS-JCC Joint Session(III-JCCJS)
成人先天性心疾患に合併する不整脈の管理と治療

2021年7月11日(日) 09:00 〜 10:30 Track3 (Web開催会場)

座長:豊原 啓子(東京女子医科大学 循環器小児科)
座長:籏 義仁(国際医療福祉大学成田病院 小児科)

[III-JCCJS-4] 成人先天性心疾患(ACHD)に合併する難治性不整脈に対するアブレーションの成績と治療戦略について

向井 靖 (福岡赤十字病院 循環器内科)

キーワード:カテーテルアブレーション, 難治性不整脈, ACHD

成人先天性心疾患(以下ACHD)において、頻脈性不整脈は病状悪化の主たる誘因の一つであるが、複雑な不整脈基質を有する難治例が多い。近年、カテーテルアブレーションの進歩が目覚ましく、ACHDに合併する難治性不整脈においても大きな成果を上げることが可能となって来ている。我々の施設における、ACHDに合併する頻脈性不整脈のアブレーションを行った105例の臨床像および転帰を報告する。背景のCHDは単純奇形が61例(58%)、中等度奇形が27例(26%)、重度奇形が17例(16%)であった。75例(71%)に開心術歴があり、18例(17%)は心不全を合併していた。不整脈病型は切開線関連の心房頻拍が39例(30%)、心房細動35例(27%)、通常型心房粗動33例(26%)、心室頻拍7例(6%)であった。主たる標的不整脈の治療による誘発不能は全症例で得られた。術後遠隔期の再発は単純奇形、中等度奇形群において各12% および17%であったが、重度奇形群では58%であった。一方、再発例においても、頻脈性不整脈の頻度減少や自覚症状の改善は高率に得られた。心不全合併の18例においては、NYHA機能分類が全例で改善し、BNP値も改善した。本シンポジウムでは、フォンタン症例における心房アブレーションや、修正大血管転位、心房スイッチ術後などの難関症例の治療経験を含めて、その実際を紹介したい。