第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

学会特別企画

学会特別企画(III-SP)
脳卒中循環器病対策基本法後の移行医療支援:成育基本法、難病対策との関連も含めて

2021年7月11日(日) 10:40 〜 12:10 Track1 (現地会場)

座長:坂本 喜三郎(日本小児循環器学会 理事長)
座長:白石 公(第57回学術集会会長)
討論者:赤木 禎治(日本成人先天性心疾患学会 代表理事)

[III-SP-1] 先天性心疾患の移行医療支援:脳卒中循環器病対策基本法、成育基本法、難病対策の狭間で

三谷 義英 (日本小児循環器学会 / 日本循環器学会 / 小児ACHD部会)

先天性心疾患の成人への移行医療に関わる支援体制としては,医療側の自助努力,病院間連携,さらには日本成人先天性心疾患学会の修練施設での取り組みがなされてきた。2017年4月に小児慢性特定疾病(722疾病)から指定難病(330疾病)へとシームレスな健保対策の一つが実現された。2017 年10月厚労省(難病対策課)から都道府県に小児 慢性特定疾病の移行医療支援体制の構築に係るガイドが発表された。2018年11月から全国8ブロックで、移行医療支援コーデイネータの研修が開始され、2021年現在、数都道府県で移行医療支援事業が始まりつつあるとされる。しかし、都道府県の保健行政上は,認知度が必ずしも十分でなく,未整備であり、県の医療計画に必ずしも明記されず、取り組みに限界があった。一方、脳卒中・循環器病対策基本法、成育基本法が、2018 年 12 月に成立、 2019 年 12 月に施行、2020 年 10 月と 2021 年 2 月にそれぞれの基本計画、基本的な方針が発表され、さらに2021 年 3 月に 脳卒中と循環器病克服第二次5カ年計画が発表された。循環器病対策推進基本計画、成育医療の基本的な方針で、「循環病の患者に対して、小児期から成人期にかけて必要な医療を切れ目なく行うことができる移行医療支援の体制整備を推進する」とされ、県の医療計画への反映の可能性が示唆された。また、循環器病対策基本法においても、循環器疾患患者への福祉支援、相談業務が検討されつつある。しかし、先天性心疾患の成人への移行医療に関して、これらの3つの法律の境界領域にあり、その位置づけが必ずしも明瞭でない。
2021年現在の先天性心疾患の成人への移行医療支援関わるこれらの動向を踏まえて、行政、家族会、日本循環器学会、日本小児循環器学会で課題を共有し、具体的な方策を探りたい。