The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

一般心臓病学

デジタルオーラルI(OR1)
一般心臓病学1

指定討論者:麻生 健太郎(聖マリアンナ医科大学 小児科)
指定討論者:小野 博(国立成育医療研究センター)

[OR1-1] 類洞交通のない純型肺動脈閉鎖における右室減圧の意義

倉岡 彩子, 大塚 雅和, 鈴木 彩代, 野村 羊示, 村岡 衛, 白水 優光, 原 卓也, 兒玉 祥彦, 石川 友一, 中村 真, 佐川 浩一 (福岡市立こども病院 循環器科)

Keywords:純型肺動脈閉鎖, 左心機能, 類洞交通

【背景】純形肺動脈閉鎖(PA/IVS)では類洞交通(SC)を32-75%に合併し、SCがない症例に比して心収縮能の低下が報告されている。一方で高圧な右室による左心機能への影響も懸念されるが、SCリスクと分けて検討されている報告は少ない。【目的】SC合併がないPA/IVSに対する右室圧減圧の意義を検討する。【対象】2000年以降に出生し当院でFontan手術を施行した41例のうち、SCを合併しない24例を対象とした。【方法】F術後6ヶ月の心臓カテーテル検査の計測値とEa,Ees,Ea/Eesの推測値、臨床データを診療録より後方視的に検討し、右室圧減圧の有無で2群に分けて比較した。(Ea=平均大動脈圧/最小左 室容積(ml/m2)、Ees=最大左室圧(mmHg)/(最大-最小左室容積ml/m2 ))【結果】右室減圧あり群(L群)17例(男13例)、減圧なし群(H群)7例(男4 例)であった。右室減圧は外科的手技により体肺シャント時16例、Glenn術時1例におこない、12例でのちに三尖弁を閉鎖(部分閉鎖2例)した。F術時年齢( L群3.2±1.0、H群2.9±0.5歳)、体重(L群12.3±1.9、H群11.5±1.2kg)に有意差はなかった。心臓カテーテル検査はF術後195±33日で施行した。平均肺動脈圧(L群8 . 8±2.3、H群8.3±2.0mmHg)、肺血管抵抗(L群1.93±0.78、H群1.46±0.42)で有意差なし、左室拡張末期圧はH群で高い傾向(L群4.7±2.1、H群6.1±1.7mmHg)がみられた 。Ea(L群3.00±0.97、H群2.49±0.64)、Ea/Ees(L群1.38±0.39、H群1.38±0.33)の有意差はなかったが、Ees(L群2.21±0.49、H群1.83±0.35、p=0.0462)はH群で低下していた。また、心エコー検査でのE/A比はL群1.03±0.60、H群で0.88±0.22とH群のほうでより拡張障害の存在が示唆され、左室長軸ストレインはL群(7例)-16.7±1.4、H群(4例)-14.8±0.4%とH群で低値であった。(p=0.03)【考察】類洞交通のないPA/IVSでは高圧右室の存在が左心機能に影響している可能性があり、右室圧減圧の有用性についてさらなる検討が望まれる。