The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

一般心臓病学

デジタルオーラルI(OR1)
一般心臓病学1

指定討論者:麻生 健太郎(聖マリアンナ医科大学 小児科)
指定討論者:小野 博(国立成育医療研究センター)

[OR1-3] 基礎疾患のない小児の胸痛患者の臨床像~心エコー検査の妥当性を含めて~

藤里 秀史1, 林 立申1,2, 矢野 悠介1,2, 塩野 淳子1, 堀米 仁志1,2 (1.茨城県立こども病院 小児循環器科, 2.筑波大学医学医療系小児科)

Keywords:胸痛, 心臓超音波検査, 小児

【背景】胸痛患者を診療する際、心疾患の除外目的に超音波検査を行うことが多い一方、小児の胸痛は心原性である頻度が少ないとされる。本邦における小児胸痛患者に対する心エコー検査の妥当性を検討した報告は多くない。【目的】胸痛を主訴に受診した基礎疾患のない小児患者の臨床像を調査し、実施された心エコー検査の妥当性について検討する。【方法】2011年4月~2020年3月までの10年間に外来部門を問わず、胸痛を主訴に受診した症例を抽出し、基礎疾患のない小児を対象とした。受診時間、診療科、胸痛の臨床像、実施された検査、診断および転帰を診療録より後方視的に検討した。心エコー検査を実施された症例について、米国の小児超音波検査の適応に関するガイドラインを参考に適応をappropriate(A), may be appropriate(MA), rarely appropriate (RA)と分類し、検査の妥当性を検討した。【結果】対象は308例 (男児 190, 61.7%)、年齢中央値は9歳(3-18歳)、時間内受診、時間外受診はそれぞれ61.4%、38.6%で、9.4%(29例)が救急搬送された。39.0%が循環器外来を受診した。運動時胸痛 23.4%、安静時胸痛 64.3%、不明 12.3%、持続時間は5分以内17.5%、1時間以上 14.6%、不明 52.6%だった。実施された検査は血液検査 22.7%、胸部エックス線 80.5%、心電図 76.6%、心エコー検査 38.3%、ホルター心電図 21.4%、負荷心電図14.9%であった。最終診断は特発性/不明 57.1%、筋骨格系 15.3%、精神神経性 14.0%、呼吸器系 6.2%、消化器系 7.1%だった。心血管系胸痛と診断をされたのは1例(0.3%)、入院は気胸の2例(0.7%)のみだった。心エコー検査を実施された118例の適応判定はA 59例(50%), MA 7例(5.9%), RA 52例 (44.1%)であった。エコーの陽性所見が胸痛の最終診断に寄与した症例はなかった。【結語】基礎疾患のない小児の胸痛において心疾患の頻度は低い。患者リスクを評価することで、過剰な精査を回避できる可能性がある。