第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

染色体異常・遺伝子異常

デジタルオーラルI(OR3)
染色体異常・遺伝子異常

指定討論者:前田 潤(東京都立小児総合医療センター)
指定討論者:与田 仁志(東邦大学医学部新生児学講座)

[OR3-3] Down症候群を伴ったFontan手術症例の臨床的特徴

米原 恒介, 武井 黄太, 正本 雅斗, 大日方 春香, 小山 智史, 沼田 隆佑, 赤澤 陽平, 瀧聞 浄宏, 安河内 聰 (長野県立こども病院 循環器小児科)

キーワード:肺高血圧, Down症候群, Fontan手術

【はじめに】Fontan手術成立の条件として肺血管抵抗が低値であることは重要である。Down症候群を伴う先天性心疾患では肺血管抵抗が高い傾向があり、Fontan術後の死亡率が高いとの報告がある。【目的】当院におけるDown症候群を伴う機能的単心室症例の臨床的経過を検討すること。【方法】対象は当院で管理した機能的単心室の6症例(D群)。コントロール群は2007年以降に当院で管理した非Down症候群の機能的単心室症例のうち、Norwood手術施行例や途中で他院から転院してきた症例を除外した71症例(ND群)。Glenn術前からFontan術後遠隔期のカテーテルデータや臨床経過を検討した。【結果】Glenn後からFontan後遠隔期にかけて、D群のRpは2.5±1.0→1.7±0.2Wood・U、肺動脈圧(PAP)は13.8±3.0→10.3±1.5mmHgと推移しており、D群とND群で有意差は認めなかった。Fontan後のSpO2は90.0±4.7% vs 94.5±2.3%とD群で有意に低値だった。Fontan手術時のFenestration作成率は100% vs 25%とD群で有意に高値で、肺血管拡張薬使用率も100% vs 34%とD群で有意に高値だった。D群のうちGlenn後にtake downを要したのは2症例だった。いずれも肺動脈絞扼術を先行しておりmigrationを来したため肺動脈圧に左右差を生じていた。1例は死亡したがもう1例はGlenn take down後に肺血管拡張薬を導入して肺高血圧を治療した後、Glenn手術・Fontan手術とも順調に経過した。【考察】D群のRp・PAPはFontan術後も低値を維持できていた。肺動脈圧の左右差や肺高血圧はGlenn手術時のrisk factorになり得ると考えられた。【結語】Down症候群を伴う機能的単心室症例は肺高血圧治療を行えば非Down症候群と比較して遜色ない経過を辿る。