The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

胎児心臓病学

デジタルオーラルI(OR5)
胎児心臓病学 2

指定討論者:稲村 昇(近畿大学病院)
指定討論者:前野 泰樹(聖マリア病院)

[OR5-5] Circular shuntを合併した胎児Ebstein’s anomalyに対する非ステロイド性抗炎症薬の効果の検討

鳥越 司1,2, Mawad Wadi3, Seed Mike3, Jaeggi Edgar3 (1.新潟大学 医学部 小児科, 2.新潟県立新発田病院 小児科, 3.Hospital for Sick Children, University of Toronto, Toronto, Canada)

Keywords:Ebstein's anomaly, Circular shunt, NSAIDs

【背景】Circular shunt (CS)は短絡血液が毛細血管床を通過せずに全ての心腔を通過し元の心室に戻る循環である。胎児CS合併Ebstein’s anomaly (EA/CS)は体血流が動脈管からstealされ、進行性で致死的な病態となる。主な管理法は早期娩出と生直後の手術であるが予後不良である。【目的】胎児EA/CSに経母体投与した非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が、動脈管(DA)収縮によりCS血行動態を改善し妊娠延長できるか検討した。【対象・方法】2018年までにトロント小児病院でNSAIDsが投与されたEA/CS4症例を調査した。【結果】治療開始週数25-34週、治療期間11-49日、使用薬剤はインドメタシン(IND)4例で100-300mg/日/イブプロフェン1例(IND治療中に一時的に使用)1600mg/日。治療前エコー所見は三尖弁閉鎖不全(TR) severe4例、肺動脈閉鎖不全(PR)moderate1例/severe3例、臍帯動脈拡張期血流(UADF)なし2例/逆行1例/順行1例、胎児水腫3例。治療反応群は3例でDA収縮は全例あり、TR gradeは不変だったが、PRは全例mild-moderateに改善、 UADFは異常のあった2例とも順行性に改善、胎児水腫を有した2例とも改善した。治療不応群1例はDA収縮が得られず上記エコー所見の改善はなかった。治療反応群は3-7週間妊娠延長し32-37週に娩出し全例術後生存した。内2例はIND最大量の長期投与例で羊水過少を認め術後透析を要したがその後腎機能は改善した。治療不応群は血行動態が悪化し31週に早期娩出となり術後死亡した。【考察】胎児EA/CSに対するNSAIDs投与は体血流stealの減少と妊娠延長を可能とし胎児・新生児死亡率を改善する新たな治療となりうる。特に出生後治療が困難な早期発症例に有用と考えられるが、今後有用性、安全性についてさらに検討が必要である。