第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

複雑心奇形

デジタルオーラルI(OR6)
複雑心奇形 1

指定討論者:上田 秀明(神奈川県立こども医療センター)
指定討論者:新川 武史(東京女子医科大学)

[OR6-4] TOF typeの肺動脈低形成の症例に対する治療戦略

正本 雅斗, 瀧聞 浄宏, 沼田 隆佑, 米原 恒介, 大日方 春香, 小山 智史, 赤澤 陽平, 武井 黄太 (長野県立こども病院 循環器小児科)

キーワード:TOF, PAI, 肺動脈低形成

【背景】ファロー四徴症(TOF)、ファロー四徴症、肺動脈閉鎖(TOF、PA)、ファロー四徴症、肺動脈閉鎖、主要体肺側副血行路(TOF、PA、MAPCA)では肺動脈低形成のため治療に難渋する症例がある。一方で肺動脈低形成の症例でも適切な治療介入により肺動脈が成長する症例も認める。【目的】肺動脈低形成の症例で肺動脈の成長を促す治療戦略を見出すこと。【方法】対象は当院で治療したTOF type269症例のうち初回カテーテル検査でのPAindex(PAI 1st、 mm2/m2)<150の26症例。PAI<150の設定は、ICRまで到達、ICR前後にカテーテル検査が施行された98症例でICR後のRVP/LVP=0.7以下をoutcomeとしたとき、ICR前のPAIが154でcut off値(感度0.92、特異度0.6)を示したことを根拠とした。性別、年齢、出生体重、診断、治療介入の回数、肺体血流比(Qp/Qs)、PAIの経過等を比較、PAIが150より成長したかをアウトカムとして多変量解析を施行。【結果】男性が13例。7例がTOF、13例がTOF、PA、6例がTOF、PA、MAPCA。初回カテーテル時の年齢0.8±1.1歳、PAI 1st<50 4例、50≦PAI 1st<80 10例、PAI≧80 12例であった。観察年数13.4±6.2(年)、PAI 1st 85.6±32.8(mm2/m2)、最終的なPAIは191.3±135.5(mm2/m2)、15例はPAI>150へ成長した。多変量解析でPAI>150へ寄与する因子としてPAI 1st 、1歳時のQp/Qsの値が抽出、cut-off値はPAI 1st=78、Qp/Qs=1.0であった。治療介入の回数とPAI>150への到達度は、PAI 1st<50、50≦PAI 1st<80、PAI 1st≧80の順に、8.0±5.1回→0%、7.8±4.4回→30%、4.0±4.2回→100%であった。【結論】PAI 1st<50の症例ではいかなる治療介入でも肺動脈の成長は難しく、PAI 1st≧80ではいずれも肺動脈の成長が得られた。50≦PAI 1st<80の症例では適切な介入で肺動脈の成長が得られる可能性があり、効率的な成長を促す治療戦略を構築することが今後の課題である。