The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

画像診断

デジタルオーラルI(OR8)
画像診断 1

指定討論者:石川 友一(福岡市立こども病院)
指定討論者:瀧聞 浄宏(長野県立こども病院 循環器小児科)

[OR8-1] 呼吸様式の違いによる心筋T1値の変化

岡 秀治, 今西 梨菜, 中右 弘一, 東 寛 (旭川医科大学 小児科)

Keywords:T1 mapping, free-breathing, breath-holding

【背景】T1 mappingは近年開発された心臓MRI検査法の一つで、心筋T1値の定量的な評価を可能にする。心筋T1値を測定することで、炎症や線維化などの心筋障害をみることができる。心筋T1値は息止め撮影で測定することが基本であるが、鎮静下の小児では自然呼吸で撮影せざるを得ず、この呼吸様式の違いが検査結果にどの程度影響を与えるかについては不明である。【目的】心筋T1値の測定に呼吸様式が与える影響を調べること。【方法】2020年4月から2020年12月に当院で心臓MRI検査を施行した患者およびボランティアの21名を対象にした。年齢の中央値は22歳(12-36歳)。息止めと自然呼吸の両方でT1 mappingを撮影した。心筋T1値の解析はENTORRES社製のCMR42を用いた。【結果・考察】息止め撮影での心筋T1値の平均は、basalで1211.1 ± 39.0 msec、midで1209.7 ± 37.4 msec、apicalで1228.9 ± 52.5 msecであった。一方、自然呼吸撮影での心筋T1値の平均は、basalで 1165.1 ± 69.0 msec、midで1103.7 ± 55.8 msec、apicalで1112.0 ± 81.5 msecであった。平均心筋T1値はすべての断面で息止め撮影よりも自然呼吸撮影で低下していた (basal; p=0.023, mid; p<0.001, apical; p<0.001)。心筋T1値の低下率としては、basalで3.1%、midで7.8%、apicalで7.7%であった。心筋T1値は物体の動きにより低下することが知られており、自然呼吸撮影で心筋T1値が低下したのは、呼吸による心臓の動きが影響したと考える。【結論】心筋T1値は、息止め撮影よりも自然呼吸撮影で3-8%程度低下する。鎮静下で小児の心筋T1値を評価する際には、この誤差を考慮する必要がある。