第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラルII(P48)
外科治療 1

指定討論者:中野 俊秀(福岡市立こども病院)
指定討論者:益田 宗孝(福岡和白病院)

[P48-4] 新生児・乳児早期開心術後の二期的閉胸症例における創部被覆材の工夫

殿村 玲1,2, 横山 晋也1,2, 福場 遼平1,2, 三谷 和大1,2, 上村 秀樹2 (1.奈良県立医科大学 胸部・心臓血管外科, 2.奈良県立医科大学 先天性心疾患センター)

キーワード:開心術後, 二期的閉胸術, ハイドロコロイド被覆材

【背景】新生児・乳児早期に人工心肺を用いた手術介入が必要な先天性心疾患は重症例が多く、ときに二期的閉胸を要する。閉胸が可能となるまで一期創をパッチで仮閉創し、その表面を撥水性フィルムドレッシング材で密閉するのが一般的だが、密閉性が失われ易く、頻回の創処置を要することが多い。
【目的】仮閉創時の密閉にハイドロコロイド被覆材を用い、経時的変化を観察してその効果を検討した。
【対象・方法】2018年12月から2020年12月までに、新生児・乳児早期に施行した開心術において二期的閉胸を必要とした6例を対象とした。方法は、一期創の開口部に合わせてトリミングした1mm厚のPTFEパッチを5-0ポリプロピレン糸を用いて創縁に縫着し、縫合線を覆うようにハイドロコロイド被覆材を貼付して二期的閉胸まで創部の状態を観察した。
【結果】内訳は新生児5例、乳児早期1例。central ECMO併用した症例が1例であった。手術死亡は急性期、遠隔期ともに認めなかった。全例でドレーンからの空気漏れは認めず、密閉状態を維持できた。二期的閉胸までに浸出液が被覆材から漏出した症例も認めなかった。二期的閉胸は術後平均4.3±1.5日に行われ、追加手技を要した2例にハイドロコロイド被覆材の張り替えを行った。閉胸後、創感染や癒合不全を起こした症例は認めなかった。
【考察】ハイドロコロイド被覆材は心臓外科手術創の被覆材として一般的に用いられ、小児心臓手術でも使用が拡大している。柔軟で密閉性は非常に高く、浸出液は吸収されゲル状になるため、二期的閉胸を要する症例の仮閉胸に用いても浸出液が貼付外に漏出することもなく、透明で創部観察も容易であった。追加手技が必要でなければ、張り替えは必要とならずコスト面においても問題なかった。
【結論】新生児・乳児早期に施行した開心術において二期的閉胸を必要とした6例において、創部の密閉にハイドロコロイド被覆材を応用し有用であった。