日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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スポーツ文化研究部会 » 【課題A】グローバル課題の解決に向けてスポーツから何が提案できるか

スポーツ文化研究部会【課題A】口頭発表①

2021年9月7日(火) 13:30 〜 14:45 会場9 (Zoom)

座長:榎本 雅之(滋賀大学)

13:30 〜 13:45

[スポーツ文化-A-01] 開発途上国における野球伝播の過程と野球定着への課題

コスタリカ共和国の場合を事例として

*藤谷 雄平1、山田 理恵2 (1. 鹿屋体育大学大学院、2. 鹿屋体育大学)

 近年日本では、独立行政法人国際協力機構(以下、「JICA」とする)を筆頭に開発途上国において野球の普及・振興活動が盛んに行われている。例えば、中米にあるコスタリカ共和国(以下、「コスタリカ」とする)では、1974年からJICAによる野球の普及・振興活動が開始され、現在においても野球隊員の派遣が継続されている(宮﨑、2016;藤谷ほか、2019)。

 しかしながら、野球は、未だに世界的に普及度が低く(IOC、online)、定着している国は少ないと考えられている。また、開発途上国を対象に野球の普及・振興活動が盛んに行われているのに対して、これらを対象とした研究は少なく、学術的な知見が蓄積されていない。

 一方、日本における野球の伝播過程および定着の歴史に関する研究は、すでに蓄積されている。日本が野球の定着に至った過程とその社会的、文化的背景に関する知見を、開発途上国の野球伝播の過程と比較することで、開発途上国の野球定着への課題について考察することができると考えられる。

 そこで、本研究では、長年、野球の普及・振興活動が行われているコスタリカを事例として取り上げ、スポーツを通じた開発の観点から、コスタリカにおける野球伝播の過程を考察するとともに、定着への課題について検討することとした。具体的には、フィールドワーク、史料調査を通して、コスタリカの野球伝播の過程について明らかにするとともに、すでに先行研究によって明らかにされている、日本における野球定着の過程の事例と比較・検討し、開発途上国における野球定着への課題について検討する。