日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー07] アルペンスキー競技大回転種目のレース分析に関する研究

女子選手を対象とした急斜面におけるタイム分析及び滑走ライン分析

〇近藤 雄一郎1 (1.福井大学)

アルペンスキー競技のレース分析に関する研究成果は、国内外で蓄積されつつあるが、女子選手を対象とした研究は少ない状況にある。そこで、本研究は女子選手を対象としてアルペンスキー競技大回転種目における競技成績に応じた滑走タイム及び滑走ラインの特徴を明らかにすることを目的とした。分析対象レースは第92回宮様スキー大会国際競技会女子大回転競技1本目であった。分析対象者は、1本目競技を完走し、大きな減速を伴う失敗のなかった30名であった。そして、分析対象者のうち1本目の滑走タイムが、30名の平均滑走タイム-標準偏差以下の者を上位群、平均滑走タイム±標準偏差内の者を中位群、平均滑走タイム+標準偏差以上の者を下位群とした。タイム分析では、ダートフィッシュのタギング機能を用いて、急斜面区間タイム・1ターンの平均所要タイム・ターン前半及び後半の平均所要タイム・雪煙の上がっている平均タイムを算出し、多重比較検定を行った。滑走ライン分析では、ダートフィッシュのストロモーション機能を用いて、分析対象者の滑走ラインを視覚化し、分析対象群毎に比較検討した。タイム分析の結果、急斜面区間タイム及び1ターンの平均所要タイムで分析対象群間に有意な差が認められた。ターン前半及び後半の平均所要タイムと雪煙の上がっている平均タイムでは、上位群と下位群、中位群と下位群の間に有意な差が認められた。また、滑走ライン分析の結果、中位群は旗門通過時に旗門から離れ旗門下部でオーバーランした滑走ラインとなる傾向があり、下位群は旗門上部のより離れた位置からターン弧を描く高過ぎるライン取りをしている傾向が明らかになった。以上のことから、より速いタイムで滑走するためには、急斜面においてエッジング時間を短くし除雪抵抗による減速を最小限に留め、旗門間を直線的に滑走しつつも旗門の横及び下部でオーバーランをしないライン取りをする必要がある。