日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー13] ダンスワークアウトにおけるメレンゲマーチのコーチング事例

受講者のつまずきに着目して

〇浅井 麻里1、寺山 由美2 (1.筑波大学大学院、2.筑波大学)

 本研究では、「メレンゲマーチ」という2 ビートの歩行動作であるステップについて、1名の対象者の事例から、頻出するつまずきの場面の実態を明らかにすることを目的とした。
 本事例においてみられた「メレンゲマーチ」におけるつまずきの点をまとめると、①ラテン系ダンスの特徴である腰部の移動がうまくできないということ、②足幅が定まらず内股に股関節が内旋し臀部が後方に突き出る姿勢になること、③体幹部が動かないという可動域の不足・体幹部を分離運動する感覚の不足、さらに④なんば歩きになってしまい、腕と脚のリズムがわからなくなること、という4点が挙げられた。これらに対する修正指導の結果メレンゲマーチの習得には、腰が床と平行にスライドできる感覚、体幹部のアイソレーション運動による波動を利用した重心の移動という2つの身体感覚が必要であることがわかった。また指導の際、「腰の動き」について指導者と対象者の間に捉え方にずれがあり、対象者の学習に長らく混乱が起こっていた。対象者はオンカウントである1と2の部分の形に当てはめていくことを目指し、腰を動かすステップである、と捉え腰から動き始めようとしていたと考えられる。一方で、指導者は2カウントの拍と拍の間の重心移動を修正しようとし、足を踏むことで腰がついてくるという1から2までの間の動き方について説明し続けた。双方の違いが理解されず、対象者に腰の動きについての正しい感覚が得られないままであったために、長らく混乱が起こってしまったと考えられる。したがって、まず最初に体幹を斜めに引っ張る感覚を習得し、次に拍と拍の間の重心移動の順序を学ぶという2点に絞った指導が必要であったことが示唆された。
 今後の研究では、さらに多くのステップのつまずきの構造を明らかにし、動き続けながらの指導形態であるダンスワークアウトにおいて、つまずきをキャッチして修正に導く方法を検討する必要がある。