日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー21] プロ野球投手の縦断的な動作変容に関する事例的研究

投球パフォーマンスの低下を及ぼした動作的要因とは?

〇波戸 謙太1、川村 卓2、金堀 哲也3 (1.筑波大学大学院、2.筑波大学、3.ベースボール&スポーツ・クリニック)

プロ野球に所属する1軍投手は、144試合の長いシーズンを戦い抜くために、持続可能で安定したパフォーマンスを発揮することが求められる。そのため、球速やコントロールのようなパフォーマンス発揮と同時に障害のリスクが少ない合理的な投球動作を獲得することが必要である。そのため、パフォーマンスの向上に寄与する動作とともに、低下に影響を与えている動作的要因について明らかにすることができれば、パフォーマンスの低下を最小限にとどめ、持続可能なパフォーマンス発揮のための指導上の着眼点を得られることが考えられる。そこで本研究の目的は、1軍での登板機会が減少したプロ野球投手を対象者とし、投球動作の縦断的な変容に着目することで、競技力の低下に起因した動作的要因を導き出し、持続的で安定したパフォーマンス発揮に寄与する指導上の着眼点を得ることとする。対象者は、日本野球機構(NPB)に所属する、X年度シーズンで1軍登板機会を有し、翌シーズンで1軍での登板機会が0イニングであった2名の投手とした。実験試技は、NPB公式試合ならびにイースタンリーグ公式試合にて取得したストレートの投球とした。分析試技は、試合にてストライクと判定され、球場に設置されたボール自動追尾システム「Trackman」によって得られたトラッキングデータのうち、球速がもっとも大きい1試技とした。1軍登板時と1軍登板のないシーズン時で比較した2名の対象者に共通してみられた動作には、踏み込み脚着地時に上胴の回旋角速度が増加を示し、同時に下胴の回旋角速度が減少を示した。リリース時においても、ストライド脚股関節の屈曲角速度が大きかった。これらの動作は、指導現場で指摘される“肩の開き”を示しており、上半身の動作に依存した投球動作となっていた。詳細については、球速やケガといったパフォーマンスとの関連も踏まえ学会にて発表を実施する。