日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー24] 高校バスケットボールの試合における得点パターンのエース依存度

〇大山 泰史1、青柳 領2、田方 慎哉3、長嶺 健2 (1.佐世保工業高等専門学校、2.福岡大学、3.広島ドラゴンフライズ)

バスケットボールでは、その得点パターンが特定の個人に偏る場合と全員が一様に得点する場合に分けられる。特に、前者はミニバスでは顕著であると言われているが、高校生に関しては検討されていない。そこで本研究では、経済学で収入格差の指標であるジニ係数を用いることで高校生チームのエース依存度の現状を明らかにし、チームの成績や選手の特徴などとの関連を検討する。対象はウインターカップ2020の参加校男子57チーム(53試合)、女子59チーム(57試合)で、データは各試合のボックススコアを用い、各試合の試合出場時間が試合全体の1/5以上の選手の得点から各チームの得点ジニ係数を算出した。得られた得点ジニ係数から男女それぞれのヒストグラムを作成し、その形状からチームを分類した。さらに、男女ベスト8チームの初戦から最終試合における得点ジニ係数から各チームの特徴を検討した。得点ジニ係数の値が0から29までを「分散型」、30から59までを「バランス型」、60から100までを「エース依存型」とした場合、その内訳は「分散型」のチームは、男子で15.09%、女子で8.77%、「バランス型」は、男子で76.42%、女子で84.21%、「エース依存型」は、男子で8.49%、女子で7.02%であった。また、男子の「エース依存型」のチームの特徴としては、留学生を含めた長身選手や3Pシュートの精度が高い選手を擁していることが共通していた。さらに、ベスト8以上のチームの多くは、男女共に1~2回戦に比べ3回戦以降勝ち上がる毎に得点ジニ係数が上がっており、一部のチームが敗戦試合で得点ジニ係数の値が下がる傾向が見られた。このように、今後、得点ジニ係数を活用することにより「分散型」に分類されたチームにはチームオフェンス、「エース依存型」チームには、エース個人の特徴を把握するなどの特徴別対策を行うことが可能であろうと考えられる。