日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー43] 中距離競泳選手における高強度運動中のSwimming Economy評価法の検討

〇金 載祐1、古賀 大樹1、仙石 泰雄1 (1.筑波大学)

<背景>
Swimming Economy(SE)とは、ある泳速度において単位距離当たりを移動する際のエネルギー消費量(kcal/kg/km)である。長距離競泳選手における乳酸性作業閾値(LT)より低い強度でのSEの分析結果は報告されているが、中距離選手において、LTより高い強度のSEは検討されてない。 本研究の目的は、よくトレーニングされた競泳選手におけるLTより高い高強度運動中のSEの評価方法を検討することとした。
<方法>
対象者は、よくトレーニングされた大学生競泳選手8名とした。まず、間欠的漸増負荷泳テストを実施して最大酸素摂取量 (VO2max)とLTを測定した。次に、SEを測定するため、間欠的漸増負荷泳テストより求められたVO2maxとLTの中間(v50%Δ)強度で3分間の固定負荷泳テストを実施した。試技中は水泳運動用代謝装置 (K5、Cosmed)を用いて呼気ガスを採取した。試技前、試技終了直後、3分後および5分後に指先より採血し、血中乳酸濃度を測定した(Lactate Pro2、Arkray)。 試技中の酸素摂取量(VO2)、呼吸交換比 (RER: Respiratory exchange ratio) および血中乳酸濃度 (bLa) を用い、SEを算出した。
<結果>
SEを評価するためのVO2の定常状態を評価する基準は、RER<1.0とbLaが2.7 - 6.0 mmol/Lと定義されている。中長距離選手3名(RER : 0.895 ± 0.06、bLa : 5.2 ± 0.5 mmol/L)は固定負荷泳テストにおいてVO2の定常状態の基準を満たしたが、短距離選手5名(RER : 1.02 ± 0.085、bLa : 8.45 ± 2.25 mmol/L)は定常状態の基準を満たさなかった。
<結論>
本研究により、中長距離競泳選手における高強度運動中のSEの評価が可能であることが確認できた。