日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー46] マット運動における側方倒立回転の技術修正に関する発生運動学的考察

〇山下 龍一郎1 (1.九州共立大学)

マット運動における側方倒立回転という技は、幼少期から大学生に至るまで、幅広い世代において学習教材として取り上げられてきた。また、この技や発展技のロンダートは、教員採用試験の実技課題に採用されることが少なくない。保健体育教員を目指すスポーツ学部の学生を指導する立場にある発表者においても、器械運動の実技課題として側方倒立回転を取り上げてきた。この技の一般的な習得目標像として鉛直面運動が据えられており、回転の軌道が水平面にずれてしまういわゆる「皿回し」は典型的な欠点であると言える。「皿回し」の要因は個々の学習者によって多様であるが、主要な要因の一つに「回転加速の技術」の未習熟があげられる。回転加速の技術とは、足の振り上げと踏切によって回転を生み出し、倒立経過の回転へ持ち込むものである。これらを有効に行うためには、正面を向いて構えを行うことが有効であり、横向きに構えてしまうと股関節の可動域の関係から有効に捌くことが難しくなる。一方、指導現場においては、側方倒立回転は全経過を横向きに回転する技であるという認識のもと、横向きの構えを指導することが少なくない。また、側方倒立回転のように幼少期から繰り返し反復される動き方は、大学生になった頃にはすでに習慣態として定着し、その修正が困難を極めることが少なくない。筆者が指導にあたる学生も例外ではなく、縦向きに構えた体勢からの振り上げ倒立や、振り上げ倒立1/4ひねりなどの動感アナロゴンを活用して修正を試みてきたが、いざ側方倒立回転をやろうとした場合には、悪癖として定着している回転加速の不十分な動き方になってしまう学習者が少ない。本発表においては、側方倒立回転の技術修正に関する指導実践のなかで得た知見について、発生運動学の立場から分析を行い、この技の新たな練習方法やその際の注意点について発表することとしたい。