日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー49] 大学男子テニス選手の試合中のサーブ動作の評価および技術的課題の抽出の試み

〇堀内 健太郎1、阿江 通良2、沼津 直樹2、有井 さやか1、針谷 理栄子1 (1.日本体育大学大学院、2.日本体育大学)

硬式テニスにおいてサーブは最も重要な技術の一つである。良いサーブ技術では身体各部およびラケットの動きを協調させ、大きなラケットスピードを獲得し、ラケットの面の向きを調節することが重要である。これまでラケットスピード獲得に言及したバイオメカニクス的研究は多くあるが、サーブ技術の評価や指導法について検討した研究は少ないようである。そこで本研究では、大学男子選手の試合中のサーブ動作を3次元分析し、得られたデータを世界一流選手のものと比較することで、サーブ動作を評価し、技術向上に資する基礎的知見を得ることを目的とした。
大学男子選手19名の試合中のサーブ動作を2台のビデオカメラを用いて撮影し、三次元DLT法を用いて身体計測点23点、ラケット5点およびボール1点の座標値を得た。得られたデータから、ボールスピード、ラケットスピード、身体各部の角度および角速度などを算出し、世界一流選手(道上,2014,Fleisig et al., 2003)と比較した。その結果、大学男子選手のボールおよびラケットスピード(165±14 km/h, 135±10 km/h)は、世界一流選手(202±12 km/h, 172±10 km/h)に比べて有意に小さかった(p < 0.001)。また、ラケットスピードへの貢献が大きい肩関節内旋(大学男子選手:1389±194 deg/s,世界一流選手:2420±590 deg/s)および膝関節伸展(大学男子選手:534±100 deg/s,世界一流選手:800±400 deg/s)の最大角速度も、世界一流選手に比べて小さく、フォワードスイング開始時の肩関節の水平内外転角度においても差がみられた(大学男子選手:約10°内転,世界一流選手:約30°外転)。これらのフォワードスイングにおける相違を検討するために、準備局面であるバックスイング局面における動作を検討する必要があることがわかった。