日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー60] 卓球競技におけるカット主戦型の魅力に着目した発掘・育成の検討

世界トップレベル選手へのインタビュー調査をもとに

〇野中 由紀1、安藤 真太郎1 (1.筑波大学)

 卓球競技のカット主戦型は、世界トップレベルで活躍できる戦型であるが少数派とされる。少数派である理由について先行研究によると、指導できる指導者が、対称とされる攻撃型に比べ少ないことが問題点の1つとして挙げられている。そしてそれを解決するために、指導内容に関する様々な知見も徐々に集められつつある。しかし、そもそものカット主戦型の魅力を指導者が理解していない場合、その戦型の特徴を発揮させるような指導法の発案、あるいは選手に「面白い」と感じさせ、自発的にトレーニングに取り組ませる仕組みや意欲を作っていくといったコーチングができにくい可能性が考えられる。
 そこで本研究では、世界トップレベルで活躍した男子カット主戦型選手1名を対象に半構造化インタビュー調査を行い、競技開始からトップレベルまでの活動を振り返って、改めて考えるカット主戦型の魅力、自身が「面白い」と考える点について語ってもらった。外から見た魅力のみならず、実施者が感じる魅力について明らかにし、これからのカット主戦型選手の発掘・育成にかかわる指導者、そしてそのようなコーチング現場に、知見を還元することを目的とした。その結果、大きく分けて1)距離感、2)回転をかける楽しさの2つが挙げられた。これらは、対象者自身が他の運動で「楽しい」と感じた現象をカットによって類似体験ができること、自身がボールに回転をかけるばかりでなく、相手ボールの回転の影響に対する自身の選択の難しさ(面白さ)が挙げられた。また、それらの複雑な現象に対して、指導者からの声掛けにより「難しい」とネガティブになることよりも、「面白い」とポジティブに感じられるようなコーチングを受けていたことも明らかになった。