日本体育・スポーツ・健康学会第71回大会

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体育方法 ポスター発表

[09 方ーポー61] トップレベルのソフトボールでは「動きのない試合」が増加しているか?

〇大田 穂1、岩間 圭祐2、木塚 朝博2 (1.順天堂大学スポーツ健康科学部、2.筑波大学体育系)

 近年MLBでは、投手の球速の高速化やフライボール理論の広まりなどによって、打者が投球にコンタクトする機会が減少し、“動きのない試合”が増加していると指摘されている。MLBが公表しているデータでも、打席結果としてHRか三振か四球かのいずれかが起こる割合が年々増加している。MLBはこの傾向を問題視し、今夏よりATLANTIC LEAGUEにおいて、三振を減少させてインプレーの機会を増加させるために、投捕間の距離を1フィート(約30cm)伸ばすなどの対策を試験的に講じると発表している。
 野球と同じくベースボール型スポーツであるソフトボールは、野球以上に投捕間の距離が短く、点が入りにくいことから“投高打低”と表現されることが多い。また、MLBの傾向と同様に投手の球速は年々高速化している。これらのことを踏まえると、ソフトボールにおいても“動きのない試合”が展開されていると推測される。そこで本研究は、ソフトボールにおいても“動きのない試合“が増加傾向にあるのか、また、”動きのない試合“と投手の球速に関連があるのかを明らかにすることを目的とした。
 世界最高峰の競技レベルと称される日本女子ソフトボールリーグにおける過去3年間の試合を対象とし、公式スコアおよび各試合球場で得られた球速を元に分析を行った。その結果、ソフトボールにおいても“動きのない試合”が増加傾向にあること、またそれには投手の球速が影響していることが示された。これらの結果より、ソフトボールの試合により動きのある展開を求める場合には、ATLANTIC LEAGUEにおける対策のように投捕間の距離を延長するなどの打者にとって有利な変更が必要である可能性が示された。