粉体粉末冶金協会2021年度秋季大会(第128回講演大会)

講演特集の案内

講演特集の案内

1.硬質(工具)材料の技術・研究における新たな展開
 切削,耐摩耗,掘削などの機械システムの性能は硬質(工具)材料によって大きく影響されるため,硬質材料の性能,製造プロセス,コスト,資源などの多くの観点からの今後の技術発展および研究が期待されています.
 本特集では,WC 基超硬合金, Ti(C,N) 基サーメット,セラミックス,cBN・ダイヤモンド焼結体,CVD,PVD などの硬質材料技術に関して,原料,材料組織,材料特性,工具特性,解析法,理論,シミュレーション,資源問題などに関する最近の研究課題と成果,新しい技術動向・進展などの発表を募集します.我が国の硬質材料技術の発展のための研究発表と議論を行いたいと思いますので,奮ってご参加下さい.
 
2.粉体グリーンプロセスにおける環境・エネルギー関連材料及び技術の新展開
 近年エネルギーの効率的利用の観点から,エネルギー蓄積および創生に関連するデバイスや省エネルギープロセスが盛んに開発されており,これらの試みには優れた粉体合成の手法やハンドリング技術が強く求められます.そして,このようなエネルギー関連のデバイスや省エネルギープロセスの開発に対する粉体工学の関わりは,今後よりいっそう強くなる事が予想されます.更に,高性能粉体の合成プロセスに対しても,低環境負荷及び省エネルギーという,いわゆるグリーンプロセスが強く求められており,地球環境・エネルギー問題に対する粉体工学の寄与が強く求められています.そこで本特集では,これら地球環境やエネルギー問題に貢献する粉体工学に関連した研究テーマに関して,シミュレーションから合成, 評価に至るまでこの分野の最新技術を幅広く取り上げ,粉体工学の新展開や地球規模での環境問題などへの関わり方について議論したいと考えています.幅広い領域からの講演を募集します.
 
3.磁性材料・磁気デバイスにおける微細構造制御と機能発現
 本特集では,ハード磁性,ソフト磁性等の様々な材料について,バルク,薄膜,微粒子等の形態を問わず,材料の磁気特性や応用先における機能と微細構造を結び付けて議論する多くの研究を紹介してきました.今回もこのテーマで,産官学から多くの機関の研究者が集い討論する場となることを期待して講演を募集したいと考えています.永久磁石用ハード磁性材料,パワーエレクトロニクスのためのソフト磁性材料では,新規材料設計や新規作製プロセスについて注目し,合金系磁性体からフェライトまで幅広く募集します.いずれの材料・デバイスも持続可能な社会を実現する上で,日本が世界をリードする重要なものとなっています.また,磁性材料の応用範囲を拡大することが期待されるバイオや環境分野などについても,材料,デバイスの提案を含め,新しい話題提供の場となるようなセッションを構成したいと考えています.多くの皆様の講演申込をお待ちしています.また奮ってセッションにご参加下さい.
 
4.粉末成形・加工による特異組織構造形成と高次機能化
 粉末焼結材料は,これまでに自動車産業やエレクトロニクス産業を支える基盤素材・部品として国内外で実用化される中,環境調和を可能とするグリーン材料・プロセスの開発や機能・特性の更なる高度化により新興国での廉価部材との差別化を進める一方,有機/無機材料の複合化や3次元積層造形技術など粉末冶金プロセスの特徴を活かし,航空機産業や医療機器分野への新規展開を見据えた基盤研究が行われています.
 本特集では,基本プロセスとなる粉末成形と固/液相焼結に加えて,金属材料の高強靭化を可能とする微細/粗粒混合調和組織形成,力学特性の飛躍的向上を目指した炭素系ナノ粒子との複合化,塑性加工との融合による特異な集合組織形成や溶解・鋳造法では実現し得ない原子・ナノスケールでの複合組織構造化,3次元多孔質構造化などに係る新たな粉末材料・プロセス設計,さらには焼結体特融の組織構造の定量化・最適化に係る数値計算などに関して,実験解析および計算科学を通じた粉末焼結材料における特異な組織形成機構の解明と高次機能化に関する講演を広く募集します。奮ってご参加下さい.
 
5.金属ガラス・ナノ結晶材料および高エントロピー合金の基礎と応用に関する新たな展開
(共催:日本材料学会金属ガラス部門委員会)
 金属ガラス・ナノ結晶材料・高エントロピー合金は20世紀後半からに急激に注目度が増している新規金属材料群であり,従来合金に比べて多くの卓越した物理的特性を呈することが知られています.これら3つの新規金属材料群には構造に結晶・非結晶の違いがあるものの,多成分,高溶質濃度,非平衡状態,長範囲均一性,無秩序構造など,材料設計や状態,構造に多くの共通点があります.従ってこれら新規金属材料群を1つのセッションで取り上げ,研究者同士が議論を交わすことはそれぞれの材料群に対する理解や新材料・機能創出に繋がる有益な機会になると考えられます.
 本特集では,金属ガラス・ナノ結晶材料・高エントロピー合金に関する基礎から応用までの新たな展開を示唆する講演を広く募集します.(1)構造,(2)相安定性,(3)計算材料科学予測,(4)力学特性,変形・破壊,(5)磁気的性質,(6)化学的性質,(7)粉末冶金,(8)接合,(9)融体加工,(10)応用など,多くの方々のご発表,ご参加をお願いします.

6.粉末積層3D造形に関わる材料および技術の最先端
 金属やセラミックス,樹脂を原料として直接製品を成形する粉末積層3D造形技術が大きな注目を集めています.本技術には,粉末製造から装置開発,造形挙動の理解や組織解析,造形体の特性評価,ポストプロセス,造形物の検査,構造体の3D設計等が必要で,学術研究だけではなく,航空宇宙,医療,金型等をはじめとする産業応用も急速に拡大しています.積層造形技術と造形体の特徴を把握するためには,粉末製造技術と粉末特性の理解に加え,材料科学や機械工学等の知識が必要不可欠な状況となっています.これまでの5回の講演特集では,幅広い分野の方が集い当該技術を議論する,特色あるシンポジウムとして好評を博しています.積層造形に関わる研究であれば内容は問いませんので,委員会のメンバーの皆様はもとより,関連する研究者の方々の積極的なご発表ならびにご興味を抱かれている多方面からの聴講を歓迎します.
 
7.ニューノーマル時代の技術革新を支える電子部品材料
 2000年に入りインターネットの普及から金融危機を経て,新型コロナウイルスに直面し,生活様式が大きく変容するニューノーマル時代を迎えています.リモートワークやステイホーム,アミューズメント,自動運転,感染症予防など生活のあらゆる局面でエレクトロニクスの必要性や重要性がますます高まっています.新しい生活様式の中で,IoT/センサネットワーク,5G/6G,AI,ロボット/ドローン,AR/VRなど最先端技術を活用した豊かな社会を実現するためには,エレクトロニクス機器の高度化・高速高性能化はもとより,小型化・高信頼化を飛躍的に高める技術革新が求められています.これを支えるのが電子部品デバイス・材料技術であり,特に高機能電子材料を用いて部品デバイス,モジュールを開発し,高付加価値製品を実現することで社会に貢献することができます.
 本特集では,新しい時代の技術革新を支え実現する電子部品材料やプロセス技術,モジュール化,設計技術など幅広いエレクトロニクス分野の講演を募集します.多くの方々の参加をお待ちしています.
 
8.SDGsにつながる粉末冶金部品および製造技術
 2015年9月の国連サミットで採択された2030年を期限とする17の持続可能な開発目標(SDGs(Sustainable Development Goals))の達成に向けて,様々な取り組みが始まっています.さらに,COVID19の感染拡大によって産業活動も大きな変化の中に置かれています.このような環境の中にあって,SDGsと粉末冶金技術あるいは製品を関連づけて整理することによって,未来に向けた開発の方向性や,SDGsに必要とされる技術・製品についてのヒントを見つけることができるかもしれません.
 本特集では,粉末冶金製品及び製造技術がどのようにSDGsに繋がるか,といった観点からの講演を募集します.今回の特集をきっかけに,粉末冶金技術について未来志向の議論の場を継続的に提供していければ幸いです.焼結部品に限らず,広い分野・視点からの話題提供を歓迎します.奮ってご参加下さい.