THE 69th ANNUAL CONFERENCE OF JSSD

オーガナイズドセッション

オーガナイズドセッションA

タイトル:
トランジションのデザイン

オーガナイザー:
長谷川
 敦士/武蔵野美術大学

パネリスト等:

水野 大二郎/京都工芸繊維大学

岩嵜 博論/武蔵野美術大学

佐々木 剛二/日立製作所

長谷川 敦士/コンセント・武蔵野美術大学


概要:

 VUCAの時代の「厄介な問題」の時代において、デザイン主導で持続可能な未来へ「移行」していくトランジションのデザインが求められている。こういったアプローチは、システミックデザインと呼ばれ、そこでは、政治、社会、経済、科学、技術、そして文化などのあらゆるものがデザインの対象として統合され、生命システム理論における自己組織化の視点が導入されている。

 ここ数年では、米カーネギーメロン大学の「Transition Design」、英デザインカウンシルの「Beyon Net Zero」など、具体的なフレームワークも提唱されており、議論が活発化している。

 トランジションのデザインは、書籍「Designs for the Pluriverse」などでも取り上げられ、未来へのビジョンを作り出すのみならず、土着性や存在論的デザインの視点からも議論の対象となっている。

 本セッションでは、トランジションのデザインを試行している京都工芸繊維大学、日立製作所、武蔵野美術大学からその実践についての報告を共有し、そのあり方や可能性、意義についての議論を行う。本大会テーマである「変化“せられるデザイン」について、「トランジションのデザイン」という視点で議論を深めたい。
 


オーガナイズドセッションB

タイトル:
映像デザイン学の提案

オーガナイザー:

杉森 順子/桜美林大学


パネリスト等:

市原 健介/一般財団法人デジタルコンテンツ協会専務理事
https://www.dcaj.or.jp/

寺本 誠/株式会社電通クリエーティブ・ディレクター
https://www.dentsu.co.jp/

杉森 順子/桜美林大学・映像作家(元テレビディレクター)
https://gproweb1.obirin.ac.jp/obuhp/KgApp?kyoinId=ymioyggiggy


概要:

 近年、映像は社会での活用や領域が急速に広がっています。従来メディアである映画やテレビ、アニメーションだけでなく、インターネット動画から街角のデジタルサイネージまで、映像は日常生活のなかに溶け込んでいます。また、バーチャルリアリティやプロジェクションマッピング、Vtuberなど既存メディアの枠組みでは収まらない映像表現が日々生まれ、技術やスキルも変化し続けています。

 その一方で、いまだ映像には多様な分野があること、制作する映像コンテンツによって工程や手法、スキルやソフトウェア、機器が異なることも十分理解されているとは言えません。いま変化し続ける映像分野への理解を深め、情報を共有する場所が求められています。

 そこで新たに「映像デザイン研究部会」を開設し、映像をデザインの視点から考察し、情報共有する場を作ることで更なる発展や実践につなげたいと思います。また映像を表現、産業、社会、目的などから多角的に捉えた「映像デザイン」という新たな視点を提案します。教育や学術、社会実装としてどのようにフィードバックしていくのかも一緒に考えていきましょう。

 今回はキックオフ企画として、コンテンツ産業分野でご活躍の方をお招きし、映像とビジネスや社会との関わりについてお話を伺います

 


オーガナイズドセッションC

タイトル:
いつもを良くする もしもも良くする
「フェーズフリーデザイン」のこれから


オーガナイザー:

松崎 元/千葉工業大学
 

パネリスト等:

佐藤 唯行/一般社団法人フェーズフリー協会 代表理事

秦 康範/山梨大学大学院総合研究部

西原 利仁/アスクル株式会社 MRO・メディカル統括部長

玉井 美由紀/株式会社FEEL GOOD CREATION 代表取締役

 

概要:

 「フェーズフリー」の概念が提唱されてから8年が経過し、繰り返す災害、感染対策の日常化、不安定な国際情勢など、世の中の状況もあってその認知度は益々高まっている。防災にかかるコストを日常のバリューとして実装することで、誰もが参加でき、日常時と非常時いずれのフェーズにおいても価値を発揮できる新たなプロダクト、サービス、ファシリティが誕生する。フェーズフリーな社会を実現するためには、こうした商品やサービス、施設の開発に対する取り組みを各分野で広げていく必要があり、認証制度の構築、デザイン事例集の編纂、アワードの開催など、普及のための様々な活動が進められてきた。

 このセッションでは、フェーズフリーデザインを「変化せられる”デザイン」の注目すべき重要な分野として捉え、具体的な事例の紹介と共に今後の展開とさらなる可能性について議論を深めることによって、これから多くの研究者やデザイナーが参加できるテーマとして発展することを期待したい

 


オーガナイズドセッションD

タイトル:
映像の行方 〜「物語性」がつむぐ未来〜

オーガナイザー:

高橋 紀子福井工業大学大学院


パネリスト等:

中田 圭/映画監督
https://ja.wikipedia.org/wiki/中田圭

土田 真樹/映画プロデューサー・韓国映画ジャーナリスト

川島 洋一/福井工業大学
https://researchmap.jp/read0072292

モデレータ:
髙橋 紀子(脚本家名:小鶴 乃哩子)
/脚本家・福井工業大学大学院
https://japancreatorbank.com/ja/creator/12/


概要:
 「映画」は、出演者と脚本・監督・撮影などのコアスタッフのほか、多数の専門職が集結し、膨大なエネルギーをかけて制作する総合芸術です。しかし、かつては娯楽の王様と呼ばれた映画は、徐々に新しいメディアに居場所を奪われ、さらには新型コロナウイルスのパンデミックの影響により、各地で優れた映画を紹介してきたミニシアターの灯火を消してしまうかもしれません。その一方で、だれもがどこでも高画質の動画を好きな時間に視聴でき、特別なスキルがないひとでも動画配信が可能となった現代では、映像コンテンツへの興味と需要は今後ますます増えると予想されます

 映像をめぐるこの劇的な変化の時代に、「映画」はどのように生き残ることができるのでしょうか?そのとき映画は、新しいメディアに飲み込まれ、ひとつの映像コンテンツのジャンルとして扱われる状況になるのでしょうか?

 本企画は、映像をめぐるこのパラダイムシフトの今、「物語性」をキーワードに、閉館の危機に直面する全国のミニシアターを応援するために製作された映画「銀幕彩日」の監督・中田圭氏とプロデューサーの土田真樹氏をパネリストに迎え、最前線で制作に携わる映画人の視点を通して、映像デザインの新たなフェーズと、映画芸術の普遍性をめぐってディスカッションします。同作は、第74回カンヌ国際映画祭マルシェ・ドゥ・フィルム(マーケット)部門に選出され、日本での公開が待機中です

 


プロモーションデザイン研究部会

タイトル:
インダストリアルデザイン概念の矮小化

オーガナイザー:

青木 史郎/プロモーションデザイン研究部会

パネリスト等:

問題提起:

黒田 宏治/静岡文化芸術大学

パネルディスカッション:

青木 史郎/中国美術学院

蓮見 孝/筑波大学

田中 一雄/GKデザイン機構

概要:

 「プロモーションデザイン研究部会」は、デザインの行政・振興活動の研究に軸足をおき、デザインをめぐる様々な課題について、アカデミックに論議する場を提供してきます。今回は「インダストリアルデザイン概念の矮小化」をテーマに、ゲストと学会員の皆様と共に、この要因について見識を深めていきます。

 「インダストリアルデザイン」は、その発生からみて「売れる商品を創るデザイン」「企業を成功に導くデザイン」といった意味を充てるのが妥当と思われます。通商産業省がデザイン課を設立してまで産業への普及を勧めたかったのも、このデザインが「産業のためのデザイン」であったからに他なりません。しかしその後、この「インタストリアルデザイン」の中核が大規模製造業へと移るに従い、「工業デザイン」へ、さらには「プロダクトデザイン」へと対象範囲が縮小し、「インダストリアルデザイン」に内在していた、総合性とダイナミズムが失なわれていったように思われます。この「矮小化」を改めて問うことは、デザインビジネスの発展や新しいデザインニーズを捉えていくタフなデザインのあり方を再考していく手がかりとなるはずです

 


子どものためのデザイン研究部会

タイトル:
子どもの問いに応えるデザイン

オーガナイザー:

赤井 愛/子どものためのデザイン研究部会


パネリスト等:

塩瀬 隆之/京都大学総合博物館

川村 哲也/COLEYO Inc. 代表

横山 季代子/沖縄美ら海水族館

柚木 泰彦/東北芸術工科大学

 

概要:

 私たちの社会は想像を超える大きな変化の波の中にあり、子どもたちが“これから”を生きていく上で、簡単には答えの出ない、もしかしたら答えが無いかもしれない課題や問いに向き合い続ける力がますます重要になると考えます。一人ひとりが自分ごととして課題を見つけ、自らにあるいは他者に問いかけ、対話を重ねながら歩みを進めるために、私たちはどのような学びをデザインすることができるのでしょうか。

 子どものためのデザイン部会では2013年の設立以来、様々な観点から議論を重ねてきましたが、本セッションでは、子どもの中にふとした瞬間に浮かぶ小さな“問い”の種をどのように見出し、共に育てていくのか、をテーマとします。塩瀬氏による「問いのデザイン」を起点に、COLEYO Inc.の「人類初の宇宙人向け動画配信」など小学生のアイデアから生まれる数々のプロジェクト、沖縄美ら海水族館による視覚障害児のための触察ワークショップ、東北芸術工科大学による中高生と“共に学ぶ”デザイン思考・探究型学習など、独創的かつ多様な事例を交えて議論します。問いに「答える」のではなく「応える」取り組みによって生まれうるものは何なのか。共に考える、考え続けるきっかけになれば幸いです

 


環境デザイン研究部会

タイトル:
変化“せられる”デザイン~環境デザイン編~

オーガナイザー:

山内 貴博/環境デザイン研究部会


パネリスト等:

登壇者

川合 康央/文教大学

森山 貴之/横浜美術大学

山内 貴博/京都美術工芸大学

ゲスト

砂山 太一/京都市立芸術大学

 

概要:

 近年の部会の年間テーマは「人口減少時代の環境デザインを考える」となっており、秋季大会では「環境デザイン(小)会議~マッピングを通して見えてきた環境デザイン部会の世界~」を開催した。ここでは部会メンバーの専門を図示して部会で扱う「環境デザイン領域」の可視化を試みた。50人程いるメンバーの29名がマッピングを行い、14人が大会で発表した。その結果、従来の環境デザインとは変化“せられる”兆候がみえてきた。コミュニティや情報といった内容である。これを受け春季大会はさらに相互理解を深めながら環境デザインにおける“変化せられる”要因について探っていく。登壇者は、本テーマに示唆を与えると思われる部会メンバーから川合康央(文教大学)、森山貴之(横浜美術大学)、山内貴博(京都美術工芸大学)、またゲストに砂山太一 氏(京都市立芸術大学)(※)を招いて研究報告を行う。これら情報提供のあと、聴衆を含め意見交換を行いたいと考えている。

※企画者・制作者(芸術学・建築学領域)。建築をはじめとした芸術領域における情報性・物質性を切り口とした制作・設計・企画・批評を手がける

 


情報デザイン研究部会

タイトル:

足元のWHYを問い直すデザイン

-時間がうみだす構造を捉えて持続可能な社会をかたちづくる-


オーガナイザー:

横溝 賢/情報デザイン研究部会


パネリスト等:

問いをたてた人:

木村 篤信/情報デザイン研究部会員・地域創生Coデザイン研究所

問いを問い直す人:

・行政のデザインの視点からの問い直し
梅本 政隆/地域創生Coデザイン研究所

・コミュニティのデザインの視点からの問い直し
由井 真波/デザイナー(リンク・コミュニティデザイン研究所)

モデレータ:

横溝 賢情報デザイン研究部会主査・札幌市立大学

元木 環情報デザイン研究部会副査・公立はこだて未来大学

概要:

 情報デザイン研究部会では、これまで地域や社会に向けたデザインの実践を深めてきました。その中で生活世界に立ってデザインを実践する際の新たな課題が見えてきました。

 例えば、大牟田市では認知症のお年寄りを地域で見守る取り組みをすることで、そのお年寄りたちは支援の中で暮らせるようになりました。しかし、見守る側の人が見守られる側になったとき、ショックで地域に顔を出せなくなったことがあったのです。この事例で地域の人々は、目の前の支援をすることよりも、支援する・される関係ではない構造に転じる必要性を突き付けられました。

 目の前の問題への対処が行き詰ったとき、このような「構造的な問題」にアプローチするにはどうすればよいのか?社会課題を机上でなく生活世界から考えることは必要なふるまいですが、目の前に見える事象やその直前の問題に意識が向かいがちです。しかし、その事象の背景にある「時間」に着目し、過去の状況や変遷してきた制度や慣習などを読み解くと、その事象が自然発生的な問題ではなかったと気づくことがあります。

 本OSでは、生活世界の困りごとの足元に流れる「時間」がうみだす構造に焦点を当てながら問題の根本を問い直すデザイン実践の可能性について、対話を通じて深めたいと思います。