The 28th Kinki Association for Clinical Engineers

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パネルディスカッション

パネルディスカッション3
デバイス好きの13人 いざ、好きを語ろう

Sun. Oct 9, 2022 1:20 PM - 3:10 PM 第2会場 (Zoom)

座長:坂本 亮輔(新宮市立医療センター)、髙垣 勝(滋賀県立総合病院)

[PD3-5] 私がデバイス好き人であるルーツ

*井野 裕也1 (1. 京都桂病院 臨床工学科)

患者生命を直接左右する医療機器を操作する場合、その構造や治療アルゴリズムに精通し、正確な知識をもとに適正に使用する必要がある。近年の医療機器の革新とともに、植込み型心臓不整脈デバイス(CIEDs)の進歩は目覚しいものがあるが、私たち臨床工学技士はそれらに追従し、これまで以上に積極的な関与が求められるようになった。私はこの役割を大変光栄な使命だと思っているが、月日を重ねるごとにその気持ちは増しているように感じている。
 約20年前に当院で私がこの仕事に就いた時には、CIEDs管理業務が既に始められていてデータベースが存在していた。ただ、CIEDsデータ側は電池電圧と電池抵抗、リード抵抗、モードや最低心拍レート、刺激出力や感知設定とそれらの閾値ぐらいを記録するものであったので、先輩にはデータベース項目の増やし方から学び、次いでその設定項目の役割を考えていくようになった。新しく知り得たデバイス情報を先輩に伝える代わりにデータベースの発展機能を教えてもらうことを繰り返すと、先輩にとても感謝されることに加え、CIEDs管理の勉強にもなり喜び2倍だった。そしてある時、医師からデバイス動作に関する些細な質問を受け、簡潔に答えると非常に感謝されたことから、ベテランでなくとも役立てたこの翻訳作業に対する快感の虜になったことを覚えている。
 またCIEDsの機能は複雑でありながら適切に設定通り動作しており、その解読は難解であるほど熱く夢中になった。よくキャリパーとボールペンを握りしめながら印刷したIEGMに張り付いていた。その際に動作解読を協力してくれた業者さんとはとても話が弾み、それが興味と勉強欲を加速させた。
 その様にして業務を重ねていたある日、植込み1週間後頃に患者さんが昨晩から辛そうにされていると主治医と看護師から情報を受け、心電図の判読後にテレメトリーチェックを行った。原因はR波直後にP波が出現しており、房室非同期をペースメーカが許容している状態と分かったので、たった一つ設定を変更すると患者さんは元気に歩き始め、患者さんと主治医からまた感謝された。この時はその嬉しさと同時に設定一つの重みも強く感じていた。
 患者さんのCIEDs管理を行う中で、人に感謝されることと達成感を味わうことを繰り返す経験が新しい情報への興味につながり、私を「この仕事が大好きな人」へと変えてくれたのだと確信した。