The 28th Kinki Association for Clinical Engineers

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シンポジウム

シンポジウム1
「AI×血液浄化」 ~AIによる血液浄化装置の自動化は可能か~

Sun. Oct 9, 2022 9:00 AM - 10:30 AM 第1会場 (Zoom)

座長:川崎 路浩(神奈川工科大学)

[SY1-1] 血液浄化分野におけるAI技術利用の可能性

*川﨑 路浩1 (1. 神奈川工科大学 健康医療科学部 臨床工学科)

社会的に人工知能(AI)を利用したサービスや研究などが増えてきている。民間研究所の調査によると、医療におけるAIシステムの市場規模は約5年後に160億円規模となり、現在の10倍になると言われている。つまり、確実にAIの導入が医療現場に進むことが予想される。
 AIという言葉はかなり多義(広義)に使われており、技術的には「機械学習」という言葉が使われている。機械学習には、その手法(アルゴリズム)がいくつもあるが、最近、話題となっているのはニューラルネットワーク(Neural Network)を使った深層学習である。単純パーセプトロンを何層も重ねて(多層パーセプトロン)ネットワーク状に結合した数理モデルであり、データから直接、特徴量を学習することができるようになり、特徴抽出を人間が行う必要がなくなったのが、従来の機械学習と異なる。深層学習は何百万件というデータを入力してその特徴を機械が見つけてくれる。エクセルでは約100万件が扱えるデータの上限数であるので、よりたくさんデータがあった場合、深層学習を使う事で新たな特徴を発見できる可能性があるのは容易に想像できる。また、扱えるデータも数値だけではなく、動画・静止画・音声などを扱うことができる。
 血液浄化療法は透析装置をはじめ各種機器(モニタリング装置など)を利用して、患者の治療が実施される。それらの記録は透析支援システムなどの普及により、デジタル的に日々、蓄透されて膨大なデータとなる。それらのデータを深層学習させることにより新たな特徴を見つけだし、その特徴を反映したモデルを構築することにより、血圧低下を予測したり、適切な治療条件を提案したりすることが可能であると考えられる。また、RO水や透析液の生菌検査などは、培地を人の目で見て判定していたが、画像を学習するアルゴリズムを利用すればAIによる判別も可能であると考えられる。何をしたいという目的を明確にして、それに関連する説明変数を整えることでAIを幅広く活用できる可能性がある。その第一歩として、それらを意識したデータの蓄積が必要であると考える。講演では実例を示して、具体的な方法と結果を紹介する。