The 28th Kinki Association for Clinical Engineers

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シンポジウム

シンポジウム1
「AI×血液浄化」 ~AIによる血液浄化装置の自動化は可能か~

Sun. Oct 9, 2022 9:00 AM - 10:30 AM 第1会場 (Zoom)

座長:川崎 路浩(神奈川工科大学)

[SY1-4] 透析装置へのAIの導入について

*伴 拓弥1 (1. 東レ・メディカル株式会社)

国内の透析医療環境では、ステークホルダごとに以下のような状況が進行している。
(1)患者の高齢化、合併症の増加などにより一人あたりにかかる医療スタッフのケア時間、負担が増加し、また透析医療事故のリスクも高まっている。
(2)医療スタッフは、熟練者が減少する一方で、患者QOL向上の為、より高度な治療が求められている。また、装置は複雑化し、スキルが追い付かない状況にある。
(3)経営者は、患者増加の鈍化に加え、診療報酬が削減される中、患者確保の為、付帯サービスの充実化が求められ、施設運営が厳しくなっている。

この状況下における課題を解決するために、透析装置メーカとして貢献できることは以下の通りである。
A.患者の容態を安定させる、また緊急処置を必要とする機会を解消するための治療支援機能の付加、充実。
B.スタッフが患者ケアに注力できるよう、装置操作を簡便にし、装置にかかる時間、負荷を軽減。
C.スタッフの熟練度に寄らず適切な治療が実施できるサポート機能の提供。
D.イニシャルコスト(装置導入費)、ランニングコスト(保守部品、消耗品、資源、エネルギー)の低減による施設運営支援。

この中で、患者容態安定化や熟練度の低いスタッフのサポートなどは、AIの活用が有効であると考えている。
また、安心・安全な治療を行うには装置の安定稼働がベースとなっており、装置トラブルを予知し、未然防止する必要がある。そうした予兆診断にもAIを活用できる可能性がある。
ただし、AIの活用には、その元となる膨大なデータが必要である。
本報告においては、当社製品が扱うデータを紹介すると共に、それらデータのAIへの活用について論じる。
一方で、AIを活用した血液透析装置の自動化を進めていくためには幾つかの課題があると認識しており、それら課題について提言する。