The 28th Kinki Association for Clinical Engineers

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シンポジウム

シンポジウム1
「AI×血液浄化」 ~AIによる血液浄化装置の自動化は可能か~

Sun. Oct 9, 2022 9:00 AM - 10:30 AM 第1会場 (Zoom)

座長:川崎 路浩(神奈川工科大学)

[SY1-5] 「AIと血液浄化」についての当社の展望

*山澤 博一1、竹林 正明1 (1. 株式会社ジェイ・エム・エス)

透析施設においては、高齢化によって様々な問題を抱える患者の増加に伴い、スタッフの業務負担が増加し、透析装置や透析情報システムは、簡便性、安全性に加えて患者状態を把握するための機能の充実が望まれている。当社は、透析情報システム(以下、ERGOTRIという)と透析装置との連携により、治療条件の一括送信や処置の記録、透析記録のペーパーレス化等を実現し、透析施設の省力化を進めている。ERGOTRIは2002年の販売開始から長きにわたってご使用頂いており、その内部に多くの透析中の装置・患者状態、透析治療条件等の透析医療データを蓄積している。また、現在では電子カルテシステムと連携を行うことで、透析以外の医療データを扱い、蓄積することも可能としている。並行して、当社では、レーザ血流計 ポケットLDFや携帯型心電計 myBeat ホームECG等、患者モニタ機器を充実させており、これらのデータも取得が可能となった。
 透析装置に関しては、当社は早くから医療スタッフの負荷軽減、手技の標準化を目的に清浄化された逆濾過透析液を用いた自動機能の開発を進め、2005年に国内初の全自動透析装置として発売を開始した。現在では、血圧計やヘマトクリット測定装置等の本装置に連携する各種患者モニタのデータが、他の装置の状態データと同時に取得できる。
 一方、近年、データを基にしたAI技術の進展について多くの報告がなされており、医療分野においても、画像診断等、様々な機器への技術展開が進められている。透析分野においても、各学会等で様々な検討が進められているものと認識している。当社は、上記に示した、透析装置および各種モニタデータ、ERGOTRIに蓄積されている医療データとAI技術を組み合わせ、クラウドを主体とした安全で簡便な透析システムを実現できないか検討を行っている。AI技術の進展は目覚ましいが、課題も多く、例えば、技術的にはデータの精度等が挙げられる。その他、個人情報保護等についても考慮が必要と考える。
 本報告では、AIを活用した血液透析装置の自動化に必須と考えられるデータ源である当社の透析システムと、課題を含めた今後の展望について、現状をご紹介したい。