The 28th Kinki Association for Clinical Engineers

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シンポジウム

シンポジウム2
各専門領域での業務拡大に向けた将来展望 CEの伸びしろについて

Sun. Oct 9, 2022 2:10 PM - 3:50 PM 第1会場 (Zoom)

座長:小笹 真(第二冨田クリニック)、野村 知由樹(医療法人医誠会都志見病院)

[SY2-4] 臨床工学技士としての災害医療との関わり

*平尾 貴洋1 (1. 淡海医療センター 臨床工学部)

【はじめに】医療器機を扱う専門職として臨床工学技士は、様々な場面で活躍している。近年、医師・看護師の働き方改革など他職種協働やタスクシフトが推進されており、より幅広い業務に係わることが多くなっている。災害医療では、医療器機の専門職としての知識や臨床現場での知識が役立つことも多く、今回2020年3月より滋賀県庁COVID19コントロールセンターでの活動経験について報告する。

【活動報告】2020年3月に滋賀県内で初めてCOVID19陽性患者が発生し、感染拡大が懸念されていた。滋賀県知事が推薦した災害医療コーディネーター(医師3名看護師5名臨床工学技士1名を含めた計11名)と行政職員で同月滋賀県庁危機管理センター内にCOVID-19コントロールセンター(以下コントロールセンター)を設置した。当初は国の具体的な指針等が無かったため、各都道府県が独自の対応をせざるをえなかった。そこで災害医療コーディネーターと行政職員が協働し滋賀県独自の患者対応マニュアル等を作成し対応を行った。その後陽性者の増加に伴い、県下の医療機関、行政機関等からコントロールセンターの人員が増員された。災害医療コーディネーターは、コントロールセンター要員への業務指導を行い、県内の対応の見直しを多職種の意見を踏まえつつ構築していった。2022年7月現在コントロールセンターでは県職員を含む述べ300人以上(内臨床工学技士2名)が県内の陽性患者の対応に携わっており、多数の陽性者が発生した場合は31人体制で対応を行っている。また国から新たな指針等が示された際は、県や関係団体・県内医療機関で連携を取りながら対応を行っている。そして今現在も24時間体制での患者対応を行っており、他県と比べてみても搬送困難例が少ないことが比較的低い死亡率を維持している要因だと考えられる。

【結果】今回は災害医療コーディネーターとして派遣されたが、活動をしていく中で治療器機(人工呼吸器・透析機器・ECMO等)を扱う専門家としての知識と経験が役に立った。特に医療従事者への感染暴露リスクなどを初動から提言できたことは、臨床工学技士が災害医療(感染対応)に関わることの有用性があると感じた。

【今後の展望】今回の派遣では、行政職員の臨床工学技士に対する認知度が低いと感じた。今後は院内で災害対応を行うこと、さらに院外での活動も積極的に関わることにより臨床工学技士の活動を広めていきたい。