第34回大阪府理学療法学術大会

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selection oral session

事前公開

[SO-04] 【事前公開】査読者推薦演題④(急性期など)

座長:疋田 佳希(aruck lab)

[SO-04-4] 中学生男子バレーボール選手の手指外傷特性と受傷に関連する身体特性の調査

小西 尚之1, 三谷 保弘2, 幸田 仁志2, 大嶺 俊充2, 植田 篤史3, 稲田 竜太4, 森 瞬彩5 (1.大阪医専理学療法学科, 2.関西福祉科学大学保健医療学部, 3.阪堺病院リハビリテーション部, 4.運動器ケア しまだ病院リハビリテーション部, 5.みやまクリニックリハビリテーション科)

Keywords:バレーボール、手指外傷特性

【背景と目的】
バレーボールではつき指などの手指外傷が多く発生する.特に成長期年代は運動器が脆弱であるため,予防対策は重要である.予防対策の検討には調査による現状把握が必要である.しかし成長期年代の手指外傷の調査は十分に行われていない.本研究の目的は中学生男子バレーボール選手の調査を行い,手指外傷特性と受傷に関連する身体特性を明らかにすることである.

【方法】
対象は地域のバレーボールチームの男子中学生50人のうち,アンケート調査に回答が得られた46人(年齢13.4 ± 0.9歳,身長164.3 ± 10.1 cm,体重51.1 ± 9.2 kg)とした.手指外傷特性の調査はアンケートを用い,2018年8月~2021年8月までの過去3年間を後ろ向きに調査した.調査項目は手指受傷数,外傷種類,受傷プレー,プレー別受傷指とした.身体特性の計測項目は身長,体重,握力,手長(手関節の皺から中指先端までの直線距離),全身関節弛緩性(関節の過可動性部位の合計を10点満点で点数化)とした.統計解析は対象を受傷群(29人,63%)と非受傷群(17人,37%)に分け,身体特性の各項目を2群間で比較した.統計手法はWilcoxonの順位和検定及び2標本t検定を用いた.統計ソフトは改変RコマンダーR4.0.2(MacOS版)を用い,有意水準は5%とした.

【結果】
手指受傷数は53件であった.外傷種類はつき指(45件,85%)が最多であった.受傷プレーで多かったのはブロック(23件,43%)とオーバーハンドパス(22件,42%)であった.プレー別受傷指は,ブロック(23件)では母指(8件,35%)が最多で,次いで環指(5件,22%),示指・小指(各4件,17%),中指(2件,9%)の順であった.オーバーハンドパス(22件)では母指(11件,50%)が最多で,次いで中指(5件,23%),示指(4件,18%)環指・小指(各1件,5%)の順であった.受傷群と非受傷群で身体特性を比較すると,身長(166.7 ± 9.3 cm vs 160.1 ± 10.1 cm, p = 0.02),手長(18.6 ± 1.0 cm vs 17.9 ± 0.9 cm, p = 0.02),全身関節弛緩性(3.0 ± 2.2点 vs 1.6 ± 1.9点, p = 0.03)で有意差を認め,受傷群が高値であった.

【結論】
本研究で明らかになった点は,中学生男子バレーボール選手の手指外傷特性と受傷に関連する身体特性である.手指外傷特性では外傷種類の85%がつき指であった.受傷プレーはブロックとオーバーハンドパスで85%を占めた.プレー別受傷指はブロックでは母指,示指,環指,小指が多かった.オーバーハンドパスでは母指,示指,中指が多かった.受傷指を減らすためには,各プレーの受傷メカニズムを調査する必要がある.身体特性では高身長,長い手長,全身関節弛緩性の高さが受傷に関連していた.これらの身体特性の選手に対する予防対策を検討する必要がある.