第16回日本薬局学会学術総会

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共催シンポジウム

共催シンポジウム2
「薬局薬剤師による食事・栄養への関わり方のガイダンス」

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:40 PM 第2会場 (5階 国際会議室501)

座長:望月 眞弓 (慶應義塾大学 名誉教授), 富永 佳子 (新潟薬科大学薬学部 教授)

共催:日本臨床栄養協会の薬局・薬剤師活動委員会

[CSY2-3] 薬局薬剤師による食事・栄養への関わり方のガイダンス-脂質異常症患者への対応-

石村 智加子 ((株)ホロン すずらん薬局グループ 地域包括担当顧問)

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 「令和2年(2020年)人口動態統計」によると死亡者数は約137万人で、その原因は第1位 悪性新生物(27.6%)、第2位 心疾患(15.0%)、第3位 老衰(9.6%)、第4位 脳血管疾患(7.5%)、第5位 肺炎(5.7%)であり、動脈硬化性疾患は心疾患と脳血管疾患を合わせ全体の22.5%となり、4.4人に1人の割合で動脈硬化性疾患が原因で亡くなっている。脂質異常症はその動脈硬化性疾患の危険因子の一つであり、食事と運動などの生活習慣の改善を行うことで薬物療法を必要としない一次予防の段階から介入することが重要な疾患である。
 一方、「令和2年(2020年)患者調査」によると調査日に全国の医療機関で受診した脂質異常症の推計患者数は入院300人、外来153,400人で、そのほとんどが通院治療であることから、薬局は一番身近な健康支援の場として重要な役割を担っている。また、来局される方の中には健診等で指摘されても受診していない方や糖尿病等の合併症があり同様に生活習慣の改善が必要な方も多数存在しており、薬局で正確な情報提供を行い、行動変容を促すことが期待されている。
 「薬局薬剤師による食事・栄養への関わり方のガイダンス-脂質異常症への対応」は、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2022年版)」(日本動脈硬化学会編)を参考に作成した。ガイダンスでは、ガイドラインに沿って脂質異常症診断基準やリスク区分別脂質管理目標値を示し、動脈硬化性疾患の予防のための食事療法・生活習慣の改善項目や多職種連携などについて紹介した。
 脂質異常症患者の多くは食事と運動に気を付けても数値が良くならず薬物療法が適用になった方でもあり、薬物療法開始後も生活習慣の改善を必要とする。また、自覚症状がないために服薬アドヒアランスが悪く、実際薬局の窓口では、「薬はいつやめられるか?」、「薬を一生飲まなくてはいけないのか?」という質問をよく受ける。このような患者が重篤な動脈硬化性疾患に繋がることのないよう多職種で連携し患者を継続して支援することが重要である。