第16回日本薬局学会学術総会

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共催シンポジウム

共催シンポジウム2
「薬局薬剤師による食事・栄養への関わり方のガイダンス」

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:40 PM 第2会場 (5階 国際会議室501)

座長:望月 眞弓 (慶應義塾大学 名誉教授), 富永 佳子 (新潟薬科大学薬学部 教授)

共催:日本臨床栄養協会の薬局・薬剤師活動委員会

[CSY2-4] 薬局薬剤師による食事・栄養への関わり方のガイダンスー在宅療養中の患者への対応―

池末 文 ((株)ユニスマイル ファーコス薬局 中央 薬局長)

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訪問診療を受けている患者は、75歳以上が89.3%、65歳以上では96.4%でありほぼ高齢者が占めている。厚労省が発表した「令和元年度国民健康・栄養調査」の結果によると、65歳以上の低栄養傾向の者(BMI<20kg/㎡)は男性12.4%、女性20.7%、85歳以上では、男性17.2%、女性27.9%であった。要介護高齢者においては20~40%、入院中の高齢者においては30~50%の割合で低栄養がみられる。これらの状況から在宅療養中の患者はほぼ高齢者であり、低栄養に陥るリスクが高いことがうかがえる。  
高齢者の低栄養は、日常生活活動度(ADL)や生活の質(QOL)を低下させるだけでなく、呼吸機能の低下や創傷治癒の遅延、生体の防御機構である免疫能を低下させ、生命予後を大きく左右する。
このため高齢者を対象とした医療では、在宅、施設入所、入院を問わず広く栄養評価を実施し、栄養障害や栄養障害のリスクをもつ高齢者を早期に見つけ出し、適切な栄養指導や栄養治療を実施する必要があるが、在宅療養中の患者においては、食事は個々に任され栄養状態を評価する機会が少ないと推測される。
在宅療養中の患者を定期的に訪問する薬局薬剤師は、患者の生活背景を把握し、栄養状態の良・不良について見極めを行い、個々の状況に合わせた食事・栄養面への積極的な関わりを行うことが重要となってくる。
「薬局薬剤師による食事・栄養への関わり方のガイダンスー在宅療養中の患者への対応―」においては、訪問診療を受けている高齢者(栄養療法をすでに受けている場合やがん患者等の急性期を除く)を対象として、栄養評価を行うための具体的な活動を示した。
食事・栄養を確認して得られた情報から服用薬剤の再評価を行い、薬剤以外にも様々な課題があると判断したときは、他職種と連携を図り在宅療養が継続できるような取り組みが必要である。