第16回日本薬局学会学術総会

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認知症サポーター養成講座

認知症サポーター養成講座

Sun. Nov 6, 2022 2:20 PM - 4:20 PM 第4会場 (4階 411+412)

座長:風間 卓巌(株式会社アイセイ薬局 薬局営業推進部 課長)

[認知症サポーター養成講座] ~認知症フレンドリーな社会のデザイン~

党 一浩 (医療法人社団誠仁会 在宅部 次長)

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 超高齢社会となるこの国において、90 歳を超えると半数以上の人が症状を有すると言われる認知症は目を背けることのできない現実である。さらに2025 年には700 万人を超えると言われる中では、認知症多数派社会の到来と言っても過
言ではない。
 認知症予防に関する取り組みは推し進めつつも、社会全体で認知症について学び・考え・行動することで認知症の人を受容し、認知症になっても自分らしく生き生きと暮らし続けることができる環境改善への取り組みを同時並行で行う
ことが肝要である。
 福岡市では2018 年より、市政として「認知症フレンドリーシティ・プロジェクト」を掲げ官民一体となって認知症の人にやさしいまちづくりに向けた取り組みを行っている。このプロジェクトのポイントは、“ 保護対象としての認知症”
からの脱却であり、認知症の人「に」なにかをするのではなく、当事者の主体性を基盤とした認知症の人「と」行動を共にすることのあらたなるチャレンジである。(検索:福岡市認知症フレンドリーシティ・プロジェクト)認知症当事者
から学ぶべきことは数多く存在する。2018 年11 月、一般社団法人 日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)が発表した「認知症とともに生きる希望宣言」がまさにそれである。
【認知症とともに生きる希望宣言】
1,自分自身がとらわれている常識の殻を破り、前を向いて生きていきます。
2,自分の力を活かして、大切にしたい暮らしを続け、社会の一員として、楽しみながらチャレンジしていきます。
3,私たち本人同士が、出会い、つながり、生きる力をわき立たせ、元気に暮らしていきます。
4,自分の思いや希望を伝えながら、味方になってくれる人たちを、身近なまちで見つけ、一緒に歩んでいきます。
5,認知症とともに生きている体験や工夫を活かし、暮らしやすいわがまちを一緒につくっていきます。
 彼らが求めているのは「サポーター」ではなく「パートナー」である。よき理解者、伴走者を増やし、寛容な社会を一緒にデザインすることで次の一歩につながる可能性がここに存在する。
 今回、認知症サポーター養成講座の機会を通して、共に認知症フレンドリー社会について考えることができれば幸いである。