第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2022年11月6日(日) 13:10 〜 14:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-001-A] 薬局薬剤師にできること:HER2陽性乳がんの1例

菅原 茂樹, 森下 敦彦 (青葉の杜薬局 東北大病院前店)

【目的】本症例はホルモン陰性、HER2陽性のルミナール型にAC療法、PER/HER/DTX療法の処方に対して薬局薬剤師としてどのような関わりを持てたかの1例報告である。患者が実際に抗がん剤治療をする生活で起こる症状や副作用に対してフォローアップ(以下FU)やアドバイスで寄り添っていくことが目的である。【患者背景】年齢・性別:41歳・女性、生活環境:食事3食・睡眠規則的生活リズム良好、飲酒・喫煙なし、診断名:右乳腺浸潤性乳管癌(HER2陽性乳がん)、既往歴:なし、併用薬:フェキソフェナジン(皮膚科)、検査所見:ステージ2、リンパ転移なし、臨床経過:'21.8に右胸しこり発見し受診。USにて右4時方向に分葉状腫瘤を認めたためCNB施工。癌と診断され大学病院受診。薬物療法:'21.10~1.AC療法開始、'22.1~2.PER/HER/DTX開始【方法・介入内容】1.AC療法後電話FU(初回1週間後)、電話FU(初回2週間後)、来局時FU(ケモ2回目時)、来局時FU(ケモ3~4回目時)、2.PER/HER/DTX療法後電話FU(ケモ2回目1週間後)、来局時FU(ケモ3回目時)、来局時FU(ケモ4回目時~)以上を行い、患者と処方医へ橋渡しを行う。【結果・経過】1.AC療法後の初の電話FUでは化学療法に対する不安感を取り除くことに留意。発熱・便秘時の対処やコンプライアンスを強化。その後のFUではヒアリングでの制吐剤の変更や痛み止めの増量を提案しQOLを改善。2.PER/HER/DTX療法後のFUでも皮膚症状が不安定なためステロイドランクアップをトレーシングレポートで提案し処方変更。QOLの維持継続。【考察】治療・処方一つ一つで起きている有害事象を患者の生活を見ながら薬剤師としてアドバイスできた1例である。鍵になるのはやはりFUとトレーシングレポートで、カイトリル®からプリンペラン®への変更、カロナール®の頓服から増量、ロコイド®からジフルプレドナートへのランクアップを処方提案し、その連携によって症状が緩和、QOLが改善できた症例。薬局薬剤師として処方医や関係者と連携をはかり、一人一人の患者への関わり方を今後も考えていきたい。