第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2022年11月6日(日) 15:10 〜 16:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-006-C] サプリメント併用中のVD3製剤服用患者に対する高Ca血症リスクの啓発とアプローチ

保井 純人1, 青柳 鼓2, 荒巻 一誉3, 紺野 良太4 (1.総合メディカル(株)そうごう薬局 木場公園店, 2.総合メディカル(株)そうごう薬局 東池袋店, 3.総合メディカル(株)そうごう薬局 竹の塚店, 4.総合メディカル(株))

【目的】エルデカルシトール(以後、VD3)はカルシウム含有サプリメント(以後、Caサプリメント)の併用や、腎機能障害などの特定の疾患によって高Ca血症を引き起こしやすく、血清Ca値の定期測定の未実施による高Ca血症の発見や対応が遅れた例がPMDAに報告されている。このような事例を事前に回避するため、今回VD3服用患者に対してアンケートを実施し、高Ca血症のリスクが高い患者がどの程度いるのか調査を行った。
【方法】2021年3月15日から6月15日の間に来局し、VD3の服用を確認できた患者にアンケート調査を実施した。項目は1VD3の服用期間2併存疾患3併用薬4健康食品等の摂取5高Ca血症の知識6Ca含有製品併用のリスクへの認知度7血清Ca値の測定状況とした。
【結果】254名の患者から回答を得た。サプリメントの摂取は106名、内Caサプリメントは26名(全患者の10%)であった。高Ca血症について知らないと答えた患者は213名(83%)、Caサプリメントを摂取中の患者でも20名(77%)が知らなかった。高Ca血症のリスクが高い特定の併存疾患のある患者は21名いたが、そのうち検査状況不明は5名(24%)であった。これら5名については、主治医へトレーシングレポートを提出、1名がサプリメント中止指示、4名が受診指示・検査実施となった。
【考察】VD3服用中であっても、高Ca血症のリスクを知らずにCaサプリメントを摂取している患者が一定数いることが示唆された。また、高Ca血症のリスクが高い患者についても、定期的な血清Ca値の検査を実施できていない可能性が考えられた。これらの結果から、薬局薬剤師はVD3服用患者に対してCaサプリメントの摂取状況を積極的に確認すると同時に高Ca血症のリスクについて継続的に啓発活動を行い、また特に高Ca血症のリスクが高い患者では定期的な血清Ca値の測定状況を確認することで、高Ca血症の発症や悪化を事前に回避することに貢献できると考えられる。