第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-007-A] 薬局で集積されたプレアボイド報告の内容~薬剤師の介入内容の分析を中心に~

鏑木 芳夫1, 柳井 理沙2, 寺本 尚徳1, 松浦 惠子1, 藤枝 正輝3 (1.ファーマライズ(株) ファーマライズ医薬情報研究所, 2.(株)メディエイド 経営企画部・事業企画部, 3.東邦大学薬学部 地域医療薬学研究室)

【目的】
当グループではプレアボイド(PA)事例を収集し、薬局薬剤師の職能可視化を目的としてデータベースを構築してきた。今回、集積されたPAを内容毎に分類し、傾向と課題を検討する。
【方法】
東邦大学薬学部倫理委員会の承認を得た2019年4月~2022年3月のPAを対象とした。PAは、処方薬情報のみに基づく疑義照会は含まず、薬歴等患者情報も踏まえ患者不利益を回避・軽減した事例とした。報告数、患者年齢、発見時点、情報の発端、原因について、変遷をみるため対象期間を6カ月ごとに分けて集計し、薬剤師の介入内容について分析した。
【結果】
期間中のPA報告数は1596件だった。患者の年齢層は、70歳代(27.0%)、80歳代(21.4%)が多かった。発見時点は、監査時(43.2%)が多く、経時的に増加傾向だった。情報の発端は、処方箋(32.5%)、お薬手帳(18.0%)、患者(家族)の訴え・相談(17.1%)、薬歴(16.7%)の順で多く、薬歴が増加傾向だった。原因は、誤転記・誤処方(15.2%)、過量投与(14.7%)、重複投与(10.4%)、同種同効薬重複(10.4%)が上位だった。
【考察】
患者の65歳以上の割合(61.9%)は、外来推計患者割合(50.7% 2020年)と比べると高いが、我々が調査(2021年)したトレーシングレポートでの割合(75.4%)に比べると外来患者の割合に近い。これは高齢者層だけでなく、より幅広い患者へのPAの寄与を示唆する。発見時点で監査が増加傾向なのは、薬剤師が様々な情報や知識を駆使している場面が、また、発端で薬歴が増加傾向なのは、個々の患者に個別的で継続的な対応が増えていると考える。発端では処方箋、原因では誤転記・誤処方等どちらかと言えば機械的・対物的な報告が多かった一方、発端において患者(家族)の訴え・相談、薬歴といった薬学的・対人的な報告も多くみられ、薬局薬剤師の多様なPA活動が窺えた。医師からの相談や患者の症状のような、連携や高度な薬学的検討を要するPAを広げていくことが課題である。