第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-013-A] 塩分摂取状況の改善を促す指導実施による腎機能低下防止への取り組み

山田 しおり, 脇田 佐和子, 中村 友香梨, 安居 佳奈, 西村 浩明, 野村 誠人 (たんぽぽ薬局 (株))


【目的】腎機能低下は、心血管疾患のリスク増大やQOL低下等さまざまな問題を引き起こす。今回、腎機能低下傾向にある患者を対象に塩分摂取の改善を促す指導を実施し、その後の状況等を調査することで、腎機能低下防止に繋げることを目的とした。
【方法】2021年9月~2022年4月までの約8か月間、eGFR90mL/min未満の成人患者を対象に、健康増進のしおり(発行元:公益社団法人日本栄養士会)を参考にして、食事療法に対する意識の確認および塩分摂取状況の改善を促す指導を実施した。塩分摂取状況はスコア化し、次回来局時に塩分摂取状況、血液検査結果の変化等について調査した。
【結果】期間中、患者83名に初回指導を実施し、うち36名に2回目の指導を実施した。36名中23名(63.9%)で塩分スコアの改善が見られた。塩分スコアの改善が見られた23名中13名(56.5%)でeGFRに改善が見られた。23名中13名で血圧測定結果の提示があり、そのうち6名(46.1%)で収縮期血圧が、4名(30.8%)で拡張期血圧の低下が見られた。また、4名(30.8%)では収縮期血圧・拡張期血圧のどちらも低下していた。今回調査対象となったeGFR90mL/min未満の患者83名のうち82名(98.8%)が、薬剤性腎障害診療ガイドライン2016で薬剤性腎機能障害の原因薬とされている薬剤を服用していた。
【考察】薬局での塩分摂取状況の確認および減塩指導により塩分スコアに改善が見られたことから、薬局薬剤師の積極的な介入が生活改善においても有用であることが示唆された。腎機能低下防止への効果としては、eGFRや血圧を長期的に見ていくことで、判断する必要がある。腎機能低下時に注意すべき薬剤が多数処方される中、薬局薬剤師は腎機能検査値を確認し、継続的な減塩指導を進める事で、腎機能低下防止に繋げる事が期待できる。