第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2022年11月6日(日) 15:10 〜 16:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-021-C] EQ-5D-5Lを用いた日本の地域薬局利用患者の健康関連QoLの現状調査

篠原 優奈1, 近藤 秀也1, 堀井 徳光1,2, 吉田 暁1, 高橋 直仁1, 三ヶ田 潤哉1, 武藤 香絵1, 大島 新司1, 井上 直子1,2, 大嶋 繁1,2, 小林 大介1,2 (1.城西大学薬学部, 2.城西大学薬局)

【目的】HRQoL (Health Related quality of life)は患者報告型アウトカムの一つである。諸外国では、HRQoLはPharmaceutical Careのアウトカム指標として用いられている。しかしながら、日本において地域薬局利用患者のHRQoLの実態は明らかとなっておらず、疾患を持たない一般国民と比較した調査は実施されていない。そこで本研究では、地域薬局を定期的に利用する患者(薬局患者群)と、慢性疾患を持たない一般国民(疾患なし群)のHRQoLの実態を調査し、2群間のHRQoL値の差を検討した。
【方法】インターネットを介して、薬局患者群および疾患なし群それぞれ、1500名を抽出しHRQoL値を測定した。HRQoLの測定尺度は、Euro Qol 5-dimensions 5-levelsを用いた。本尺度は完全に健康な状態を「1」、死亡を「0」として評価できる。
【結果】薬局患者群のHRQoL平均値(標準偏差)は、0.895(0.132)であり、疾患なし群の値0.964(0.066)と比較すると、低下していることが明らかとなった。また、薬局患者群のHRQoLの実態として、男女ともに若年層のHRQoL値が低く、20 代男性および女性ではそれぞれ0.819(0.168)および0.837(0.147)であった。HRQoLに関する質問のうち、全ての項目に「問題がない(完全に健康な状態)」と回答したものは、疾患なし群および薬局患者群でそれぞれ、64%および36%であった。また、両群ともに若年層でその割合は低下していた。
【考察】本調査の結果、地域薬局薬剤師による追加のPharmaceutical Care によって、HRQoLを高める余地の存在することが示唆された。今後どのような介入が、若年患者のHRQoLを高める事のできるかについて研究する必要がある。