第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2022年11月6日(日) 13:10 〜 14:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-022-A] 特別養護老人ホームに駐在する看護師と連携することにより多剤併用の解消につながった一例

岸本 祐樹1, 原田 祐希2 (1.(株)中川調剤薬局 らら薬局 神野店, 2.(株)中川調剤薬局 ハイタウン店)

【目的】現在、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、介護施設ではクラスターが発生しやすく、重症化リスクの高い方が多く、厳重な感染対策を行っているところも多い。私たちが関わる介護施設でも感染対策のため、利用者の方と面会ができず直接利用者の方から情報を収集することが困難なケースも出てきている。今回、介護施設に駐在する看護師(以下看護師)と連携をすることで、より詳細な情報を収集することができ、多剤併用の解消につながった一症例について報告する。
【方法・結果】90歳代、女性。服用中の薬剤は12種類12剤であった。入所後1ヶ月経過した頃に嚥下困難のため、看護師より薬剤の粉砕の可否についての相談があった。服用薬を調べたところミラベクロン錠およびフルボキサート塩酸塩錠が製剤特性から粉砕することができない薬であり、それ以外を粉砕調剤して服用できるように支援を行った。それから1年ほど経過した頃に粉砕できない2剤についても嚥下ができなくなってきたと情報を共有していただいた。この2剤をどうするかを考えるために詳細な患者の情報を看護師に確認したところ、この利用者はおむつパッドをしている事が判明し、排尿回数が多くなる事が問題となりにくいと考えた。この2剤の服用中止の提案を医師に行ったところ、服用中止となった。その後、問題となることもなく現在も服用を中止したまま経過を観察している。
【考察】施設に駐在している看護師は患者の状態を詳細に把握していることがわかった。その情報を薬剤師と共有しあうことで、薬剤師は患者の薬物治療を見直すきっかけが生まれ、多剤併用などの薬物治療における問題点を解消する一助になった。また、中止後の薬物の体内動態から状態に変化が起こる時期を予測し、看護師とその情報を共有することで看護師が質の高い看護サービスを提供することにも繋がることが期待できる。