第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

2022年11月6日(日) 13:10 〜 14:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-031-A] アトピー性皮膚炎患者のスキンケアへの意識調査から薬剤師の職能向上の可能性を探る

内田 未帆1, 横田 彩花2, 安達 禎之2, 原 和夫1 (1.(株)わかば, 2.東京薬科大学)

【目的】アトピー性皮膚炎患者は、ドライスキンの状態となっており、スキンケアを正しく行うことが重要である。そこで、アトピー性皮膚炎患者のスキンケア方法及び生活環境を調査し、薬剤師の職能向上の可能性を考察する。<BR>【方法】2022年5月11日~6月10日に弊社5店舗に来局されたアトピー性皮膚炎患者およびその既往歴のある患者24人を対象に聞き取り調査を行った。調査内容は、市販品を含めた保湿剤によるスキンケアの実施とその回数、外用ステロイド薬の使用数、入浴方法、日常における注意点とした。<BR>【結果】保湿剤によるスキンケアを実施している人は16人であり、そのうち11人が全身に行い、使用回数は1日2回が最も多く、塗布のタイミングは入浴後や朝が多かった。保湿剤の成分はヘパリン類似物質が最も多く、ステロイドなど他の外用薬の使用が多い程、保湿剤の使用回数は増加傾向が見られた。また、入浴方法はシャワー浴・入浴に大きな偏りはなく、洗浄のタイミングはシャワー前が多く、ボディソープは低刺激のものを選ぶ・柔らかいスポンジで洗うなどの回答もあった。保湿剤の効果的な使い方を実施している方が多くいた一方で、保湿をしない・シャワーや入浴時の温度は41℃以上と痒みを誘発しやすい状態の方もみられた。さらに刺激が気になる衣類を避ける、痒い時は室温を下げるなど日常における注意点がある方の全員が保湿剤によるスキンケアも実施していた。<BR>【考察】調査結果から、患者ごとにスキンケアに対する意識の差があることが判明したことから、意識の低い部分に対してより良いスキンケア方法の指導を行うことが重要である。患者の意識の低い部分を把握し補う指導方法を確立することができれば、日常的な治療意識を向上させることができ、憎悪・軽快を繰り返す慢性疾患であるアトピー性皮膚炎治療の継続的な支援となり、薬剤師の職能向上に繋がる。