第16回日本薬局学会学術総会

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一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Aグループ

Sun. Nov 6, 2022 1:10 PM - 2:00 PM ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-034-A] アベマシクリブ服用患者の副作用回避に向けて薬局薬剤師が果たすべき役割

鈴木 大希1, 永野 悠馬2, 緒形 富雄2, 前田 守2, 市ノ渡 真史2, 長谷川 佳孝2, 月岡 良太2, 大石 美也2 (1.(株)アインファーマシーズ アイン薬局 台原店, 2.(株)アインホールディングス)

【目的】アベマシクリブ(以下、Abe)は、高頻度で皮膚障害の副作用を発現する。そこで、Abeの院外処方動向を調査するとともに、副作用回避に貢献した薬局プレアボイド事例から、安全な外来がん化学療法に向けて薬局薬剤師が果たすべき役割を考察した。
【方法】2019年1月~2022年4月の当社グループ保険薬局での応需処方箋について、抗がん剤とAbeの処方割合を調査した。また、同期間に経口抗がん剤服用患者に対して当薬局の薬剤師が実施した服薬フォローアップ(以下、服薬FU)が副作用回避に貢献した事例を抽出した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0166)。
【結果】全処方箋に対する抗がん剤を含む処方箋の割合(以下、抗がん剤応需率)と抗がん剤を含む処方箋に対するAbeを含む処方箋の割合(以下、Abe応需率)は、2019年1月では1.25%と0.25%、2022年4月では1.52%と1.79%であった。また、以下の事例が確認できた。再発乳がんに対してAbe錠150mgを1日2回で服用開始した60歳代女性において、12日後の電話での服薬FUで「11日後から38℃を超える発熱」「体幹部の発疹」を聴取した。薬局薬剤師は、その症状をGrade 2以上と判断して患者へ受診勧奨した。加えて医師へ連絡し、服用中止となった。13日後に患者は臨時受診し、ステロイド外用薬が処方された。2週間加療の後に皮疹が痂皮化し、28日後からAbe錠50mgが1日2回で処方再開となった。29、34日後の服薬FUで、皮疹の再発が無いことを確認した。
【考察】本研究の結果から、Abeを用いた外来がん化学療法の症例が増え、薬局薬剤師がAbe処方に対応する機会が増加していることが示された。事例では、服薬FUにて発疹を早期発見し、医療機関に情報共有し、早期に受診勧奨したことで重症化を防止できた。これら「来局間を含む積極的介入」「医療機関との連携強化」が薬局薬剤師の果たすべき役割と考える。