第16回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Bグループ

2022年11月6日(日) 14:10 〜 15:00 ポスター会場1~3 (4階 405+406/409+410/413+414)

[P-041-B] 調剤薬局におけるオーラルフレイルチェックスコア告知と歯科受診の関連:症例対照研究

間島 千賀, 佐藤 裕介, 松木 史, 土山 茜, 野上 通代, 山内 省吾, 奥林 活人, 藤谷 修一 ((株)なの花西日本 調剤事業部)


【目的】オーラルフレイルは身体的フレイルや要介護状態へ陥るリスク因子であるがその認知度は低い。薬剤師によるオーラルフレイルの啓発とセルフチェックの結果を基に歯科受診勧奨を行いその効果について検討する。
【方法】2021年9月1日~2022年3月31日の間に(株)なの花西日本の中国エリアの1店舗に来局し同意を得た患者に、飯島勝矢氏らが開発した『オーラルフレイルのセルフチェック表』(以下、チェック表)を用いオーラルフレイルスコア(以下、スコア)を算出し、年齢、性別、歯科受診歴を口頭で確認し記録した。患者へ薬剤師よりスコア告知と受診勧奨を行い、告知後2か月以上経過後に歯科受診歴なしの患者にのみ、受診有無の確認を電話か来局時に口頭にて行った。歯科受診歴なしの定義は1年に1回以上歯科受診をしていない者とした。スコアを連続量で比較し、主要評価項目はスコア告知後の歯科受診の有無とした。年齢、性別を調整しロジスティック回帰分析を行った。
【結果】78人が研究に同意しチェック表に回答した。回答者の年齢中央値は72歳(四分位範囲66-78)、男性24人(30.8%)。歯科受診歴なしが36人(46.2%)、スコアは、可能性が高い29人(37.2%)、危険性あり18人(23.1%)、危険性は低い31人(39.7%)であった。2か月以上経過後、歯科受診歴なしの36人中6人(16.7%)が歯科受診を行っていた。ロジスティック回帰分析ではスコアと2か月以上経過後の歯科受診の有無に有意な差は検出されなかった(1.23、P=0.408、95%信頼区間0.75-2.01)。
【考察】回答者の60%以上オーラルフレイルの危険性があり、スコアに関わらず半数近くに歯科受診習慣がないことが明らかとなった。スコア告知と歯科受診の関連が検出されなかった要因は、告知~受診勧奨プロセスに薬剤師によりバラつきがあった可能性がある。これらの手順を標準化し、歯科医への適切な受診勧奨体制を構築することが本研究の今後の課題と考える。